前回ヘッド廻りに新たな問題が見つかってしまったMKⅡ。排気ポートから(マフラー側)エキゾーストバルブを見た状態で、カムが外れている状態でバルブは閉まっています。ポート内にオイルが溜まっているのが分かります。結構な量です。俗に言うオイル下がりが起きてます。ヘッド廻りは一通り弊社にて内燃機加工をさせていただいております。当然バルブガイドも打ち変えてバルブも交換してあります。オーナー様が純正新品ステムシールを組み付ける時に傷を付けてしまったかもしれません。
燃焼室側は全気筒共にウエットです。特に排気ポート内にオイルが溜まっていた1番シリンダーが酷いです。バルブ廻りをバラしていきます。
外したエキゾースト側のリフターです。紫色に変色してしまっています。通常であれば薄ら金色見がかったシャンパンゴールドになっている部分です。上下の色が違う部分はリフターがリフターホーを上下に動く際に擦れている部分で、この幅が太い程、リフターが首を振っている事になります。
そしてEX側のステムシールにヒビが入っています。リップ部は少し開いてしまっていて外したステムシールは硬くなってしまっています。
上がインテーク側、まだ新品の様な柔らかいゴム質を保っています。下がEX側でプラスチックとまではいきませんが、かなり硬くなっていて表面はカサカサになり無数のヒビが入っています。
お分かりの方も多いと思いますが、これは「熱」によるもので、通常では受けない程の熱を受けたと推測できます。オーバーヒート状態で、ステムシールは焦げる手前と言うところでしょうか。
オーナー様に確認したところ、CRキャブレターのセッティングをイロイロとされたようで、燃料をかなり薄くしてしまいメインジェットは80番台との事で、薄過ぎです・・・。エンジンや吸排気の仕様によって燃料の濃さは様々ですが80番は搾り過ぎですね。燃料が薄過ぎると熱が出ますので原因はこれです。
当然ヘッド自体が想定以上に熱を受けていますので、ネジ山の痛みも激しいです。異常燃焼や焼き付きや抱き付きプラグ溶けなどの症状が起きなくて不幸中の幸いでしたが、シリンダー側もかなりの熱を受けた後が見受けられますので、危ないところだったかも知れませんね。
幸いダメージは少なさそうなので、焼けが酷い部品やステムシールを交換し、燃調を整えれば解決しそうです。
さて腰下を割って、クリップの捜索に入ります。
つづく。