何度か記事にしていますが、Z系シリンダーヘッドとブロック厚さについて。
ここではシリンダーヘッド厚さが105.0mm、Z1~Mk2前迄のシリンダーブロックの高さ(シリンダースリーブの突き出しを除く)は89.55mmとしています。
この数値は、新品時から面研等の施されていない3ケタに近い個体を測定し、その平均値から出したものですが、割とばらつきもあり最大ではプラスマイナス0.1mm程度迄の個体差がありますので、それを考慮して下さい。
実際に当時もの新品未使用のシリンダーヘッドを何個か測らせていただいた事もありますが、そのいくつかは105.05mmを越えていました。
さて、シリンダーヘッドに対してシリンダーブロックの数値はあまりきりの良い数字では無いのですが、これはおそらく設計時にブロックの下にシリンダーベースガスケットを入れる事を前提に、ガスケット込みでほぼ90mmとなる様にされたものと考えられます。
Z系の当時の純正のベースガスケットのシートは0.5mmの素材ですが、当時のタイプの材質の新品をものを一度組み着けして取り外すと、エンジンをかけなくとも約0.45mmと約90パーセント迄圧縮されますので、足して90mmですね。
又、弊社でも使用しているカーボングラファイトのガスケット。
これは元々高年式のZ1000Pや、ベースがメタル化される前のザッパー系750エンジン(ゼファー750の初期)等、最近でもいくつかの車種に使用されている純正のカーボングラファイトベースガスケットと同じ物を使用していますが、この素材の場合は約0.40~0.45mmと、80パーセントから90パーセントの間迄圧縮される事がわかっています。(縮み幅に差があるのは、エンジン仕様の違いや車種によってはガスケット面の面荷重が異なる為だと考えられます)
ちなみに前述のゼファー750は、後期型で純正ベースガスケットがメタルシート化されました。メタルシートは基本圧縮に依存せずに表面に成型されたプレスビードラインのテンションでオイル等の密閉を行いますが、 その厚さは0.45mmになっています。
これはそれ以前のゼファー750初期型のカーボングラファイトベースガスケットの0.5mmのものが使用時に圧縮された際に合わせてメタルシート厚さの設定が行われたものと思います。
さて、一般的にシリンダーベースガスケットシートは、組んだ直後でまず一段階、更に使用する事で必ず寸法は小さくなります。(その分が増し締め時に締められる分となります。)その値が元寸法の80パーセントから90パーセントのいくつの厚さで落ち着くかは同じ車種ですら使用条件によっても変わります。
例えば同じZ系でもスリーブの大きさが大きく変わると、その分ベースガスケットに荷重のかかる面積は小さくなる為、シリンダーヘッドナットを同じトルクで締めたとしても、面積あたりの荷重は増える為に圧縮率は高くなります。
この為、表記上の厚さは新品素材時の厚さとしています。
ノーマルエンジンや通常レベルのエンジンチューニングでは、この10パーセントの圧縮率の違い(0.05~0.10mm程度)が極端な差になる事は無いのですが、より詰めたハードチューニングでは寸法的な正確さが求められる場合があります。
この為の対策も現在進行中です。