二十年以上前に新規輸入認定USED車両としてお納めしたZ1Aですが、今も国内輸入後1オーナーで大切にされています。
外装ペイントも新車時からのオリジナルタイガーですが退色も少なく美しい状態をキープしています。
今回は、始動時等に若干白煙の発生が認められる様になってきたため、大事を取りヘッドを下して白煙(オイル燃焼)発生原因を突き止めてリビルドします。
下し立てのシリンダーヘッドです。ザックリと燃焼室内のカーボンを除去した所ですが、これから洗浄台に運びキッチリと本洗いです。
オイル下がりを誘発しそうなクラックは発生していないか? ステムシールの経年劣化を始め特にガイド周辺からのオイル侵入を疑います。ご存知の方も多いと思われますが、Z1/Z2のバルブガイドは銅系素材が採用されており、走行距離を重ねた物等ではガイド内径の消耗によりバルブステムとのクリアランスが過大となった物も少なくありません。それにより、バルブとシートリングの当たりに問題が出たり、ステムシールの劣化を早めたりする事で、オイル下がりの原因となるケースも多く見て参りました。
またこれはあくまでも推察の範疇なのですが、当時有鉛ガソリンから無鉛ガソリンに切り替わった事で、有鉛前提だったガイド素材とバルブステムの熱処理に対する相性が変わってしまったのではないかと考えたりもします。
実際、後のKZシリーズからガイドは鋳鉄素材に。そして特にインテークバルブに対する熱処理が明らかに変わっており、以降のモデルではそれ以前と比較し圧倒的に消耗度合が低くなっています。
若干の白煙が認められる様になったものの、元々の車両コンディションが抜群に良かった為各部の状態は良好。従って最低限のリビルドで初期性能を復活出来そうです。
ピストントップに堆積したカーボンもザックリと除去。勿論純正STDサイズです。シリンダー壁にはまだクロスハッチもシッカリと確認出来る状態で、ヘッドOHだけでも問題なさそうです。
現状をしっかりと見極め、ツボを押さえた腰上OHでこの先も末永く楽しんで頂けると嬉しく思います。
大切に乗って頂きありがとうございます。