EFI(電子式燃料噴射)システムに使われるインジェクター。
1980年代から比較すると大幅に進化しています。
主な違いは消費電力の低下や反応速度と霧化特性。
インジェクターはソレノイド構造の為、通電を開始してからバルブが開き始めて全開になる迄のタイムラグ(無効噴射時間)が必ず発生するのですが、年代が新しくなる程にそれが短くなり、精密な噴射制御が可能になります。
昔の純正品の場合は1msec(1/1000秒)強あったものが現代のものは消費電力は1/3程度で0.5~0.8msec程度にまで短くなっています。
又、ガソリンを噴射する為の穴も当時は一つのみの穴からほぼ直線的に噴射されていたものが、微細加工技術の進歩でより小径の噴射孔を多数化し、更に個別に角度をつけられているものもあります。
これは、1984年頃のカワサキDFIシステムと呼ばれたEFI用インジェクター。
穴は1つです。当時の乗用車用にも同じ規格のものがありましたので、それの流用です。
インジェクションシステムは 性能的なメリットはあったものの、ハードとしてのコスト面とシステムの単純さから殆どのバイクはキャブレターに戻りました。
又、2輪は排ガス規制が4輪に比べて割と緩かったせいもあり、 カワサキ車にはインジェクションシステムはその後採用される事はありませんでしたが、規制が徐々に厳しくなり、 2,000年代初頭には再度導入されるようになりました。
その後、殆どの車両がEFI化されています。
2003年式Z1000用。4穴タイプのストレートです。
初期のZX-10R用。 12穴が左右に振り分けられています。
これはもう少し後のZX-6R用、8穴になっていますが両サイドに向かって噴射角度がつけられています。
同じ8穴で両サイドに振り分けされている、2010年位のZ1000やDAEG用。
インジェクター自体の色が上の4穴のものと同じオレンジで、穴数や形状は違っても容量は同じです。
これは、現行のZ900RS等に使われている最近のもの、12穴ですが配列が変更になっています。
ちょっと試しに、1984年のDFIスロットルボディにZ900RSのインジェクターを装着してみたところ。
スロットルボディ自体の機械的な構造は、35年経ってもさほど変わりませんので、ECUを最近のフルコンに換装して容量の合う最新型インジェクターの流用も大いにありかも知れません。
省電力化はもちろんですが、制御するコンピューター自体も当時のものとは比較にならない程進化していますので。