フルオリジナル車両の定義ですが、いわゆるレストア等仕上げの履歴が無い「当時物」で且つ適切な整備を施すだけで本来の走行性能を取り戻せる物という認識です。更に新車時の輝きを色濃く残す様な車両は尚希少価値が高くなります。
ただその様なオリジナル車両は激減を通り越し、絶滅種にも近い状況がここ数年続いておりまして、製造を終え数十年の経過した空冷Z達を取り巻くこの状況がある日突然改善する訳もありません。
数年前までは年間数台ペースでコンスタントにオリジナル且つミントコンディション車両を探す事が出来たのですが、いよいよ厳しそうな気配です。
様々な伝手を頼りアンテナを張り巡らせ、目に適う物を発掘した際には少々高値でも押さえる様に努力はして参りましたが、海外でも特に当時販売台数を見込めた北米等もコンディションの優れる個体は枯渇状態です。
また好きで車両を保有しているオーナーさん達が、簡単に車両を手放さないのは現地も日本国内も同じです。
ですから現在その様な車両を手にされているオーナーさんは、大切に乗って欲しいと思います。
程度の良いオリジナル車両に、時代感を損なう事なくファインチューンを施してスパイスを効かせるという乗り方も、元の状態が良いからこそ出来る合わせ技でもありました。要はレストアや化粧直しの必要が無いわけですから。
このオリジナルZ1B達はフレームも外装もメーター周りも素晴らしいコンディションを保った正真正銘のフルオリジナル車両でしたが、
電装系のブラッシュアップとPISTAL鍛造ピストンのインストールでファインチューンを施し、
今を安全に走れるパワーと楽しさ、そして信頼性を手に入れました。
お客様からの御問い合わせも頂いておりますので、まだまだ発掘を続けてはゆきますが、先行きが明るくなる可能性は限りなくゼロに近いと思います。
この仕事を始めた二十数年前、まだまだ車両が見つけられた時代が大変懐かしく思いますね。