これは、1979年型のZ1000Mk2からZ1000J系、色違いのブラックメッキタイプではZ1000Rにも使用されている純正タンクキャップです。
このタイプ、新品の際には良いのですが、長年使用したものは各部が劣化して来ると頻繁にガソリンの滲みが発生するようになります。
タンクにガソリンの染み痕が残るのも非常に嫌ですが、過大に漏れが起こるともちろん危険ではあります。
20年も昔には既にそういった症状に悩んでいたMk2系車両はありましたので、何度か漏れを留めたいという相談は受けたことがあります。
曰く、給油口との当たり面のパッキンを交換してくださいという事でした。
ただ、この部分のパッキンは現在でもパーツとして入手は可能なのですが、実は滲みや漏れの発生の多くは、スライドするマウント内側に組み込まれているU字断面タイプのオイルシールである事が多く、しかもこのパーツは単品でのパーツ供給が無いのです。
このオイルシールは、ロックの為のマウントベースを軸にして巻く様に当たっていますが、開閉時に常にスライドする様になっていますので、ガソリンによる硬化と同時に摩耗もしています。
又、オイルシール以外にも各種の専用サイズのOリングやシール、エアとガスを分離する為の通路を形成するガスケットを含めてパーツ設定がありません。
以上の理由から、ガソリン滲みが発生する様になったキャップのメインのパッキンのみを交換しても症状が収まる事は殆ど無く、基本アッシ交換となってしまうのです。
この為、以降の交換時には弊社で取り扱いしていますリークレスタンクキャップを使用しています。
エア吸入と排出の為のポートが現在でも使用される独立構造のバルブ付きとなった為元々の性能も高く、又、かなりの長期に渡って滲みを防止します。
構造的には、ガス落ちの為のエア吸入容量は更にスムーズに、内圧開放の為のエア排出ルートはワンウェイバルブ付きで容量が増えている為、正しく装着されていれば給油口ぎりぎり迄給油して走行しても容易に滲む事がありません。
この為、従来のタイプのものより若干厚くなっています。
もちろんこのキャップ自体も消耗しないわけでは無く、又、内部の交換部品設定はありません為、不調になった場合はアッシ交換となります。
ただ、シール品質が大幅に向上し、構造も進歩した1980年代後半から90年代のものとなります為、今のところは車両に装着して25年程度使用したものでも目に見える滲みや漏れはほぼ確認できません。
それでもいつか消耗した時の為にと、予備に1セットとお求めになる方もたまにいらっしゃるのですが、おそらくその出番は相当に先の話ではないかと思えます。(笑)