現在整備中のZ1000Jに使用されている純正タイプのガラス管ヒューズ。
1980年代前半迄はこのタイプが主流で、多くのバイクに使用されていました。
ちなみに、80年代中期のGPz1100やGPZ900Rあたりからブレードタイプのヒューズが使用される様になり、以降の新車は同形式を採用し続けて現代に至り、同じブレードタイプでも2サイズ程小型化されたものが現行車に使われています。
さて、この時代のヒューズボックスですが、内部でコードをカシメした端子を更にリベットの様にしてヒューズ端子に装着してあるという手の込んだ構造です。
ただ、この形式だと新品時は問題は無いのですが、長年使用すると端子に使用されている銅や真鍮の表面が酸化する事で抵抗が生じ、そこで熱が生じる為に更に参加が促進される様になります。
最後にはその熱でヒューズボックス筐体を溶かしたり、端子から伝わった熱でヒューズを溶断してしまう場合もあります。
電気的にはショートしていないにも関わらず何故かヒューズが飛ぶと言う様な事を繰り返す様になるわけです。
こちらは最近のヒューズボックス内ですが、コードは無く、基盤化されて更に端子は半田付けされていますので、ボックス内で抵抗は生じません。
又、ヒューズ側を保持している端子は、背面から筐体に挿してある1ピースのスプリング構造です。
この1ピースタイプは、長年使うとヒューズへの接触圧が抜け易く、又一見ヒューズの丸い筒に対して面で接触している様に見えるのですが、円に円を重ねる様な方法だとそれ程接触面積を稼ぐことは出来ません。(少し大きさの違う円を描いて重ねてみるとわかりますが、端子とヒューズ間の導通は殆ど線接触で行われます。
この為、やはり端子面の酸化が若干でも進むと抵抗が生じ易いのです。
ちなみにこちらは、1990年代中期以降から現代迄使用されてるタイプのヒューズボックスですが、スプリング効果を維持する為に複雑な構造になっている事がわかります。
ガラス管ヒューズが欠陥であるという気はありません。
実際、上の写真のZ1000J,R系用ガラス管ヒューズボックスは、2005年の最終型Z1000P迄、約25年近くも使われました。 メーカーが車両寿命を10~15年程度で想定して、実際その様に使われるのであればトラブルが発生する前に廃車になってしまうでしょう。
ただ、現実には多くの車両がそれ以上の年数を経過する様な使われ方をしていますので、気になった時にはヒューズボックスそのものを新調してしまうのが整備の一環として効果的です。2020年12月現在での写真のヒューズボックスは、税別 3,810円にて購入が可能だそうです。
ただ、万が一のトラブル時に現代のガラス管ヒューズの入手性の悪さと、ブレードタイプヒューズボックスの寿命の長さを考えるのであれば、換装を考慮するのもありかと思います。
弊社でもZ系車両用に、ブレードタイプヒューズボックスのラインナップをしています。
これそのもので性能自体が上がるわけではありませんが、信頼性と整備性、そして長期の耐久性は確実に上がります。
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