1980年以前のZ1系と呼ばれるエンジンのトランスミッションギアは、その殆ど全てが欠品の為、オーバーホール時に痛みが激しい場合は良品中古品を探すか、ギア歯やドッグ部分が良好なものの場合で、内側に軸メタルが圧入されているものはメタルを製作交換といった形で対処する事になります。
さてこちらのギアは、当時ものの新品未使用品です。
海外を含むネットオークション等で販売されている通称デッドストック品の中には、袋だけ当時のものに入れてある使用済み中古品 (整備交換時にうっかり新品を出した袋に外したものを入れてしまって再保管されていた場合もある様です。) が当時もの新品として販売されていたりする例も結構あるので注意が必要ですが、これはかなり昔にメーカーより購入されたままのものです。
未使用ギアの歯面
通常はこの様に滑らかで、当たり傷等はありません。
ドッグや内側のメタルにも当たり痕は一切ありません。
余談ですが、このインプット4速とアウトプット3速のギアは、ギアドッグに大きな痛みが無くとも内側のメタルが摩耗していると3次元的なギアの振れが発生し易く、走行中に負荷がかかったりアクセルを抜いた際にギア抜けが起きる場合があります。
この場合シムを使ってスラスト方向のクリアランスを詰めてもフリクションが増大するだけで問題は解決しません。Z系ミッションの場合、スラスト方向には適度なクリアランスが必要です。
この場合はこの様にギア自体か、内側のメタル交換が必要です。
こちらはアウトプットシャフトのLoギア。
このギアのメタルは内径も細い為、摩耗による影響も大きくなりますが、新品の為クリアランスは最小限でドッグの入るダボ部分も使用痕は一切ありません。
これよりこれらのギアを、現状でも状態の良いミッションに組み込みしますので、オーバーホール後は軸部のあたりが出る迄は丁寧な暖機とシフトチェンジを心がけていただきます。