エンジンからの異音の原因は様々で、異音が発生する条件や場所、異音の種類や大きさなど、ケースバイケースで外部から異音を聞いて原因を特定するのは非常に困難です。ですが、長年Zを専門的に見てきている私たちは、エンジン構造、部品構成など、そして過去に修理させて頂きました実際の症例から、ある程度の所までは原因が推測できる場合があります。
今回の症状は、発進時の半クラの際や、アイドリング回転が基準回転数より低くなってしまった際に腰下から、「ガラガラガラ」と痛々しい低音が出ると言うケースでした。
この手のガラガラ音はクラッチハウジングやクランクシャフト本体、スターターワンウェイクラッチ、マグネットローターと様々な原因が推測できます。今回は発生の条件や異音が聞き取れやすい場所から、ワンウェイクラッチのマウントボルト緩みが怪しそうなのでそこから点検することに。
思っていたより酷い状態でしたが、おそらく当たりです。マグネットローターとワンウェイクラッチを固定しているボルトの緩みです。そして極稀に見受けられる症状ですが、マグネットローターのセンターボルトは緩んでいませんが、アルミ部とセンターの鉄部の鋳込みがアルミの変形により緩んで?しまいガタがでてしまっています。今回はダブルで緩んでしまっています・・・。そして幸か不幸かフロントドライブスプロケットのナットも緩んでいました・・・。ここは恐ろしい事になる前に発見出来て良かったです。
これがワンウェイクラッチを固定しているM8ボルト3本です。完全に緩んでいました。
そしてこちらがマグネットローターの鋳込み部の緩みです。こうなってしまうともうこのマグネットローターは発電はする物の使い物にはなりません。今回は弊社に極上のUSEDストック品がありましたので良かったですね。
マグネットローターをマウントするクランクシャフトエンドテーパー部の荒れが酷かったのでラッピングして組付けていきます。このまま荒れたまま組み付けると緩みの原因になります。
ラッピング完了。
ワンウェイクラッチも新品に交換。今回緩んでいたM8ボルト3本はロックタイトを塗布し規定トルクで締め付けます。
マグネットローターを高強度クロモリボルトにてこちらもロックタイトを塗布し規定トルクで締め付けます。
フロントスプロケットナットは純正のロックワッシャーとナットで規定トルクで締め付けて完了です。
ジェネレーターカバーからのオイルリークを少しでも防ぐために液体ガスケットを塗布してカバーを閉めましたので、一晩おいて明日エンジンをかけ症状を確認します。まぁほぼこれが原因だと思います。
今回のようにマグネットローターが破損してしまった場合は、中古の良品に交換するか、ご予算的に問題が無ければ、発電とワンウェイクラッチを両方強化できる弊社製品のジェネレーターコンバートキットの交換もオススメです!
ジェネレーターコンバートキットは>>> こちら
深夜の通信販売みたいになってしまいましたね・・・
たまには自社製品を紹介しないと社長に怒られてしまいますので、あしからず・・・(笑)