Z系を含む2バルブ車の燃焼効率を上げる為の手法としてメジャーなものがツインプラグ化です。
特にビッグボアの場合、燃焼室の両側よりスパークを行う事でトータルの燃焼時間が短くなりますので、ピストンが上昇して混合気を圧縮してから一気に燃焼させて効率を上げる事が出来ます。
さて、Z系をツインプラグ化する場合、純正位置のBプラグに対して、燃焼室の反対側位置にDプラグもしくはCプラグ等の穴開け加工を垂直に行ってやるのが普通です。
ただこの方法の場合、1番のサブプラグと2番のメインプラグや、4番サブプラグと3番メインプラグの間隔が非常に小さくなります。
この為、ツインプラグ時には弊社でよく使う一般的な樹脂ボディのプラグキャップが使用できず、この様にシリコンチューブ内部にターミナルが入っているタイプのキャップ付きコードか、弊社のツインプラグコードセットの様な細味のキャップを使用します。
ただ、この方式の場合はキャップの脱着時に確実に挿し込むには少々コツが必要な場合があり、無造作に脱着すると内部ターミナルが破損する場合もあります。
又、2番と4番のメインBプラグは、プラグレンチによってはサブプラグの2本を先に外さなければアクセス出来ない場合もあります。
余談ですが、カワサキZで純正ツインプラグになっていたZ1000 Jベースの市販レーサーZ1000S(通称S1)は、ヘッド加工時にメインプラグも小さ目なものが使用されていた為、こういった問題は起きません。
ただ、一般市販されたZ系エンジンのシリンダーヘッドは既にBプラグ用で加工されていますので、これを小さなプラグには出来ません。
そこでこういった場合に使えるのが、同じBプラグでも背の低いKタイプと呼ばれるもので、シリンダーヘッド側に埋まる部分はBプラグですが、装着後に露出している部分は最も小さなCプラグサイズになっています。
サブプラグ用Cプラグとの比較写真です。
ナット部より上側サイズは太さも長さも同じで、プラグレンチはどちらも細いCプラグ用を使用しますので、作業時にレンチを使い分ける必要が無くなります。
又、レンチが細くなることで、サブプラグは外す事無くメインプラグへアクセスして脱着が可能です。
傾いているメイン側のプラグが低くなる事で、NGKのゴムボディタイプのキャップであれば使用出来るものがあります。
逆に言えば、背の低いものをメインプラグに使用しなければ、このタイプのプラグキャップはお互いが干渉してしまうので使用できません。
プラグに対してはねじ込みで組付け出来る事と、このタイプのキャップには抵抗が入っていますので、ノイズ防止にも向いています。
昨今の車両ではナビやカメラ等、電子装備を増設する場合も多いので良いかも痴れませんね。
ちなみに、このショートタイプのプラグは、先端がVカットされており、かぶりに強いタイプですので、パワー重視にセッティングした場合のキャブ車にも向いています。
当方の経験上、イリジウム等の昨今の高性能プラグはストリート走行によるカーボンの大量付着には弱い傾向がありますので、これもメリットかと思います。