車両整備と同時に弊社製MOSFETレギュレーターを導入したZ1000Jです。
それまでバッテリー上がり気味ではあったものが充電電圧も安定しました。
ただ、純正のメインハーネス側のレギュレーターを接続する部分のコネクターに若干の発熱があるのが気になりました。
気になってコネクターを分解したところ、やはり端子の導線かしめ部分に焼けが見られました。
これが進行すると更に発熱は大きくなり、コネクターが変形、更には溶着してしまったりします。
メインハーネスの消耗とはよく言われますが、コードそのものに腐食や焼けが発生するのは末期的症状で、その殆どはコネクター端子のかしめ部分や端子そのものに現れます。
これは、流れる電流が大きければ特にその傾向は顕著なものになり、多いのはキーシリンダーコネクターのメイン電源やヘッドライトの電源、イグニッションコイルの電源や、充電系、メインハーネスのアースコードや始動時にスターターモーターを稼働させる為のスターターモーターハーネスやバッテリーコードが代表的なものとなります。
さて、この車体では充電系のハーネスについては既に痛みが見受けられます。
弊社のZ系用レギュレーターセットは、各車種用のハーネスにカプラーオンで簡便にインストール出来る様にはしてありますが、これもあくまで車体側のハーネスの健康状態が良好である事が前提ですので注意が必要です。
必ず車両側を確認して下さい。
他の部分も点検してみますが、この部分はお約束とも言える場所です。
純正のZ系の場合、Z1000Mk2以降Z1000JやZ1100GP,Z1100RやGPz1100もこの様にジェネレーター部分から出たステーターコイルからの三相電力線はスターターモーター下部でオスメス端子を使ってメインハーネスと接続されていますが、この部分、早ければ数千km。経験上1~2万kmも走ればこの様に黒焦げになってしまうものが殆どです。
これ程になっていればかなりの充電ロスになっていたでしょう。
ちなみに新品端子で作り直しても正直長くは持ちません。
前述のレギュレーターコネクターの件もありますし、元々の構造的な問題もありますので、接続方法そのものを変更しながら修理する事にします。
ステーターコイルからのコードを直接延長して、レギュレーター迄ダイレクトに接続出来る汎用キットの方を使用します。
MOSFETレギュレーター汎用キット
配線の延長の為コードを接続するのですが、被膜を通常より長目に剥いて2つのかしめ部分でコード同士の重ねをなるべく多くしてやります。
接触面積を多くしてやれば、その分導線の接触抵抗は低くなりますので、ここで熱が発生する事も抑えられます。
かしめ部に半田を流してやれば完璧ですが、使用履歴のあるコードでオイルが浸みた銅線を綺麗に半田付けするのは難しい事と、無用に加熱するとむしろ銅線の酸化を助長します為、注意してください。
技術的に半田付けが難しい場合は重ねた上でしっかりかしめてやった方が良いでしょう。
接続部分の保護の為、セット付属の熱で溶ける接着剤でシール出来る収縮チューブを使用します。接続部が重ならない様、3本をずらして繋いでいます。
作業的な手間はコネクターオンセットに比べて大きくなりますが、この様にMOSFETレギュレーター迄を直結してやれば、発電効率の向上はもちろん、長期に渡っての耐久性も維持出来ます。