フルコンを使っての点火マップ作製です。
2次元ベースのマップから、この様に視覚的には粘土をこねる様に調整しながら3次元マップを作る事が出来ます。
例えばこのマップを使用する車両はサーキット走行も行う車両のインジェクションなのですが、一般的にライダーからのフィーリングを説明される場合はスロットル開度である場合が多い為、3次元マップは回転数とスロットル開度に対しての点火時期として作っています。
非常に口径の大きなスロットルボディを使用する為、ストリートを低負荷走行を行った場合の巡航中開度は僅かに5~8パーセントとなります。
この為、 3次元マップで点火時期を大きく進める事の出来る 領域はその低開度域にしています。
又、このエンジンはハイコンプの大口径ピストンとハイカムを組み込まれたチューニング仕様の為圧縮圧力も 14㎏/㎠ プラスと高くなっていますので、回転数が低い領域でアクセルを開けて負荷の高くなる領域はノーマルエンジンに対しては少々遅らせてとりあえず走り出しのマージンを取ってこれくらいから詰めていきましょう。
ちなみに、当方にお任せでストリートメインのマップをとなった場合は、3次元マップはスロットル開度では無く、直接エンジン負荷を推測できるインテークマニホールド内の負圧をベースにする場合もあります。
さて、車種が同じ同系統のエンジンであっても、例えばマフラーやキャブレターが異なるのみでも理想となる点火時期は変わります。 エンジン自体の仕様が変われば尚更ですし、更には乗り方や使用環境でも異なります。
この為、点火システムのマップにはこれが最高なんてものはありません。どんなによく出来た既成服でも、その着心地が個人の体格に合わせて作ったオーダーメイド品を上回る事は無いのと同じです。
キャブレターであっても点火系のみフルコン化してセットアップを進めると、低負荷領域ではどんどん点火時期は進める事が出来、こんなにスムーズにバイクが進むのかと再認識させられますし、例えば瞬間的にスロットルを開いて時間あたり開度が大きくなった際にも3次元マップ以外に追加の補正でノックの出ない様にリタードさせてやる事も出来る機能があります。
又、A/Fセンサーを使用して空燃比や、スロットル開度に回転数、場合によっては各種温度や速度等のログデータを検証する事で、キャブレターセッティングの煮詰めにも使用可能です。