インジェクションシステムのセットアップとセッティングと並行して、Z2の純正キャブレターと、ポイント点火システムの整備です。
キャブレターはボディや内部のピストンの摩耗状態がそれほどでは無い為、整備が可能であるとして、一度リンケージ廻り迄完全に分解し段付きした部分の研磨とドライベアリングの交換、又内部外部の摩耗消耗した部品は可能な限り交換して再組立てしています。
さて、ポイント点火システムです。
進角の為のアドバンサーの動きに少し不調を感じますので、取り外して点検します。
点検して洗浄したところ、摩耗消耗も大きくは見られませんしスプリング自体のテンションも問題無かった為、必要部にグリスを塗布してやりましたところスムーズに動く様になりました。
2か所のポイントギャップと点火時期を調整して調整します。
電子式点火システムに比べて手間はかかりますが、個人的には嫌いな作業ではなりません。
アイドリング点火時期が適正になったところで、キャブレターの同調もとってやると、スムーズにアイドリングする様になりました。
(動画のピットレートが足らないのか、アームの動きがスムーズに見えませんが)
さて、弊社ではノーマルエンジンとチューニングエンジンに対応したオリジナルマップをインストールしたASウオタニ等のデジタル点火システムの販売に、フルコンを導入しての車両個体に合わせた点火マップを製作しての点火時期制御迄を行ってはいますが、それに対しての機械式アナログ点火システムを時代遅れのものだと全否定するものでは無いです。
例えば機械式で基本アイドリング中と走行中の2種類のみで制御されている点火時期にしても、完全にノーマルレベルのエンジンであれば、正常に機能します。
(機械式点火制御の場合点火時期制御が大雑把な為、ノーマルエンジンでも低中速の常用域でのパフォーマンスを向上させたい場合や、特にエンジン自体にピストンやカムを変更したチューニングを行った場合には、そういった点火システムでは性能を発揮できないかダメージを及ぼしてしまう場合もありますので、点火時期をより適正に制御できる点火システムが必要になります。)
さて、エンジンがノーマルであるという事を前提に、ポイント点火システムの利点としては、整備状態が常に完全であれば耐久性面においてはそれ以降の電子式点火システムに対して上回っているという事です。
不利な部分としては、ポイント部分の接点やアームや進角の為のアームが機械的に消耗してしまう為に、その状態を良好に保つには頻繁な整備とその為のコストが継続的に必要であるという事です。
このあたりは、時計機能を含み様々な機能を併せ持つクォーツの腕時計と、職人が組み立てた手巻きや自動巻きの機械式時計の違いにも似ています。
時計としての正確さとフリーメンテナンス性で機械式時計がクォーツに勝る部分は無いのですが、それをもって機械式時計に魅力が無いという事はありません。
極端な話ですが、インジェクション用に使われるフルコン制御にはどこまでも煮詰めて機械の性能を安全かつフルにセッティングが出来ると言う部分。(パワーのみでなく燃費も確実に向上します)
ASウオタニのフルパワーキットに代表される電子式の点火システムには、セットアップの利便性とフリーメンテナンス性にセッティングの簡便さ。
そしてポイント点火システムには、自らメンテナンスをする事で自分の車両の面倒を見ると言う満足度を含む部分と、それぞれに利点があります。
趣味性においては、自分で手をかけてより良い状態を作り出すという部分を楽しめると言う部分ではインジェクションもポイント点火システムも実は同じだったりもしますね。