バルブクリアランス調整とは、タペット調整もしくはシム調整とも呼ばれます。
Z系の様な構造の車両の場合は、カムシャフトの山になっていない部分と、カムがリフトさせる面のシムの間の間隔を測定して、必要に応じてそのシムを交換する事でクリアランスを調整します。
エンジンを組み立てる際にはもちろんですが、使用しているエンジンでも徐々にこのクリアランスは変わってしまう為、数千kmから1万km程度毎に調整を行う必要があります。
何故に定期的に調整が必要かと言えば、バルブとシートリングの密着する部分は走行を続けると摩耗する為、バルブが全体的にカムシャフト側に上がって来る為です。
一般的にはこのクリアランスは徐々に小さくなり、完全になくなってしまうとカムがバルブを押しっぱなしになる事でバルブは密閉を保てなくなります。
そこまで行かなくとこのクリアランスが小さくなると、カムシャフトの山が最初に当たって開き始めたり閉じる際のタイミングが変わります。
そうなると一般的には圧縮圧力(圧縮比では無い)は低下して、中低速のパワーは特に失われやすくてパンチの無いエンジンになります。
特にキャブレターや点火系のセッティングを行うのであれば、事前にバルブクリアランス調整整備の履歴を確認し、場合によっては事前に調整を行わなければ適正なセッティングが出なくなる可能性がありますからご注意下さい。
燃料も点火も、エンジン本体が適正であっていればこそです。
ちなみに上の写真のエンジンですが、クリアランスを適正にしてやった結果、平均1㎏f/㎝²程ずつ圧縮圧力は高くなりました。