カムシャフト組み込み後のバルブタイミング調整中です。
バルブタイミングは、カムメーカー毎に指定されているものであったり、又チューナーの考えで狙った特性を出す為であったり、カムチェーンの伸びや面研によっての全体的な遅れを調整する為に調整されるのですが、これを行う為にはカムに対して回転方向にずらせるように加工されたカムスプロケットが必要になります。
さて、カムスプロケットを固定するボルトはフランジボルトでも強度のあるものが純正でも使用されています。
これは伸びたり緩んだりしては最悪エンジンを破損し兼ねない為、一般的なエンジンボルトより強いトルクで締める事が指定されている為です。
例えばZ系やJ系では6㎜太さのボルトですが、他メーカーのカム用では1サイズ大きいものの一般的には割と少数派の7mm太さのものが使われているエンジンがあります。
ただ、純正のボルトがどちらかと言えばスプロケットの穴に対して貫通してボルトの軸自体も使い固定する様になっているものに対して、 調整式のスプロケットの場合はスリットとなっている為、軸で支える事は出来ずボルトの座面が発生する締め付け圧力のみで固定する必要があります。
この為、当方が調整式スプロケットを使用する場合には、同じ6㎜のフランジボルトでも、僅かに座面部分が広く、ネジ部分も1mmだけ長いものを使用しています。
又、純正より強度も高く、より確実に締結出来ます。
黒いタイプが純正で、シルバーが調整式の際に弊社が使用するタイプ。
ボルトの長さも違いますが、軸部根本の形状も純正は異なります。
これは上述の通り、使用方法の違いです。
座面が大きい事で、より確実にスプロケットを固定できる事と、ネジ部が僅かに長い事で、接触面積を増やしてより緩み難く、又、カムシャフト側のねじ山にかかる負担を僅かにでも減らして傷みにくくする事が出来ます。
海外製の鋳造カムシャフトにも、ネジの有効長を最大限に使えているのがわかります。
純正の鍛造カムに対して、鋳造カムは強度を保つためにボルトの受け部分が厚くなっている場合が多いです。
座面の大きさは絶妙で、DIDの瓢箪型コマのカムチェーンにもクリアランスが取れるサイズになっています。
1mm長くなっておりますが、シリンダーヘッド側への干渉は起こりません。
これでなければ絶対に緩むと言う様な事は無いのですが、より確実な方をとの考え方で使っています。
当社では現在のところ販売部品としてラインナップしているものではありませんが、ご必要と言う方がいらっしゃれば、これらもお分け出来る様にいたします。