台風による雨の間隔を見て、実走行ログを採りながら微調整を行います。
弊社の方にはリターダーによる負荷をかけられるダイナモもありますので、これを使って各スロットル開度や回転数、速度に対しての大まかなベースマップは作れますが、室内で全ての走行条件を再現は現実には不可能である為、実走行しての確認や調整を繰り返すのは必須であると考えています。
例えば、全開にしての吹け切り迄のピークパワー域については現実的にダイナモを使用するしかありませんが、これにしてもどのギアでピークパワーを狙うのかによっても変わります。例えば2速3速での立ち上がり全開加速を狙うのか、5速全開での最高速を狙うかでもセッティングは変わります。
これはインジェクションでもキャブレターでも違いはありません。
ただ、ストリートでの常用域のセッティングについてはやはり実際の車両が走行する際の生の負荷をかけて走行したデータを反映させるのが一番です。
ダイナモデータを元に経験からある程度の調整は出来ますが、車両とライダーの重量や、接地しているタイヤの摩擦を含む駆動系のフリクション、ある程度速度が出た際の空気抵抗係数は個体差が非常に大きい為です。
低速度であれば抵抗は比例しますが、速度が上がると空気抵抗は速度の2乗で増加すると言われると、高校の物理でやったなと思い出す人もいらっしゃるでしょう。
ちなみに、先日高速道路をそれなりにメリハリつけての加減速を交えながら区間走行をした場合の走行ログがこれです。
縦軸がスロットル開度、横軸が回転数、ライン軌道の色が空燃比を表しています。
この中では合流等で一瞬アクセルを開けた際の最大開度でも50%を僅かに超える程度。
ダイナモ上でパワー測定する様な低開度から全開100%にする開け方は、リッタークラスのバイクの場合ストリートでは滅多にその機会がありません。
年式や車種にもよりますが、制限速度の倍出したとしても、巡航中開度が50%に満たない車両の方が多い位です。
その殆どが開度20%に満たず、これがツーリング等でゆったり走行だったりすると、その9割以上が5~10パーセントの範囲になったりします。
ピークパワーと加速中のセッティングはもちろん必要ですが、この低中開度領域がいかに大事かわかるかと思います。