Z1系のドラムブレーキハブ用スプロケットが販売開始になる事は、先だっての記事に出しました。
520化のメリットとしては、駆動系の軽量化とローフリクション化によって、加速も減速明らかに体感できる程スムーズになる事。
又、回転部分が軽量化される事で、燃費等も確実に向上する事が見込まれる事です。
520化した際の耐久性面についてですが、チェーンの幅が減るという事は内部のブッシュとピンの面積あたりの荷重が増える事と、スプロケットの幅が小さくなれば同じです。
但し、チェーンやスプロケットの寿命はそのメンテナンス状態が距離より大きく関わってきます。
ちなみに、弊社のインジェクション検証車両のZ1000Jは、実は製作当初より520チェーン化されており、その際に使用しているスプロケットは今回デビューしたZ1系同様にスチール製です。
定期的に汚れを拭き落した上でシールチェーン用のオイルを注油しているのみで、 既に1万数千kmを走行でも目立った摩耗消耗は見られません。
ストリート走行の場合、タイヤはほぼ距離に応じて摩耗度が比例するので走れば必ず減るのですが、チェーンやスプロケットの場合はケア次第です。
又、チェーン自体が10パーセントも軽い事でスプロケットに噛む際の衝撃荷重もその分低減されるのも、耐久性には有利に働きます。
実際のところ、オートバイをほぼ毎日の様に通勤等で使用するならばともかく、年間走行距離が数千kmで万に届かないレベルのユーザーにとって消耗が極端に早いと難じられる様な事は無いと思われます。
更に、これはチェーンやスプロケットの機能や性能とは違うのですが、副次的なメリットとして、サスペンションスプリングとの安全な距離を取り易いと言うものがあります。
現代のZに使用されるツインショックは、その殆どが倒立タイプで上側からプリロード等調整するものが普通なのですが、その為にスプリング位置が下になり、更にダンパー容量を持たせる為に大径になったものが多い為、ノーマルスイングアーム仕様の車両の場合純正の630では装着不可能、525ですら割とギリギリと言うものが多いです。
弊社で整備する場合は必ずチェーンがスプリングやそれを支えるカップに接触等を起こさない事を確認しますが、中にはサスペンションユニットを外側にオフセットせねばチェーンが干渉してしまうものがあったりします。
例えばこの車両は530チェーンですが、かなり近いです。
以下は525チェーンで 、各サスペンションは現代では割と細身のものですが、それでもあまり余裕はありません。
出来ればもう少し間隔を欲しいところですが、その場合はショックを外にオフセットする事になります。
ちなみに、これは同じブランドの525と520チェーンを重ねたところですが、525から520化した場合、チェーンとサスペンションユニットとの間隔は約2.3mm広がる事になります。
作業を行うとわかりますが、この2㎜強増えるクリアランスはかなり安心材料になります。
さて、それでは具体的に520チェーン化する場合の費用、パーツコストを計算してみる事にします。