先日の記事で紹介しました、新規に追加製作したNBRコートベースガスケットの詳細です。
スプリング硬化を発揮するステンレスシートメタルに、NBR(ニトリル系ゴム)をコーティングした、プレスビードタイプのベースガスケットです。
素材製造は、日本においてのオイルシールやOリング等の自動車系ゴムパーツのトップメーカー、NOK社です。
ラインナップとしては
ガスケット厚さで2種類。
標準仕様の0.45㎜ (従来のCGベースガスケットの0.5㎜に相当します)
チューニング車時のハイコンプ化やレーサー向けの0.38㎜となります。
サイズに関しては、シリンダースリーブが入る部分の穴径で2種類
内径79mm– Z1, Z2~KZ1000の純正スリーブと、弊社ESTスリーブの72-74迄
内径82mm-- 各社の76㎜ピストン用迄の社外スリーブや弊社74-76スリーブ等
となります。
この為、現状のラインナップでは4種類。
価格は全て ¥2,800/枚(税込¥3,080) です。
厚さ表記の無いものは標準の0.45㎜ 0.38㎜のものは038と記入して識別しています。
又、このガスケットでは上下方向が定めてありますので、PAMS UPとなっている方を上側、シリンダーブロック面に向けてください。
こちらは内径79mm
こちらは82mmです。
ビードの関係でノーマルブロックを使用するのであれば、Z系ではこの内径がほぼ限界のサイズですね。
さて、今回ベースガスケットをメタル化するにあたってはどうしても取り入れたかった形が、このオイルラインを兼ねるスタッドボルトの部分です。
ここをこの様な形状としたのは、クランクケース側の面を出すのに面研を行った場合、下の写真のオイルラインからスタッドホールに至るオイル通路になる部分が狭くなってしまう為、ガスケット側を上の形状にしてやればその分狭くなったオイルラインを広く戻せるからです。
ガスケット厚さ以下の面研量であれば、加工前と変わらない流量を維持できます。
通常のガスケットでこの穴形状にすると、強度不足になってガスケットが歪んだり切れて飛び出してしまったりする場合がありますが、メタル化により可能になりました。
これで、ケース面研時にこの部分を掘り込んで通路面積を戻す加工が不要になります。
ちなみに、ステンレスシートメタルはアルミ製のクランクケースやシリンダーブロックとの膨張率が異なる為、各部の公差も考慮して従来のカーボングラファイト製とも各部の寸法を変更しています。
この様に僅かに動かせるのは、その為の公差分となっています。