Pistal Piston 68mmです。ピストン一つ一つは画像↑の様なパッケージに入ってイタリアから日本へ届きます。Z1等の66mmストローククランクに組み合わせるとノーマルの903ccから958ccとなります。
ノーマルボアの66mmに対して2mmオーバーサイズとなりますが、純正ピストンでは0.5mm/1.0mmオーバーサイスピストンを用意していた事から、その何れに対してもボーリングのみで使用出来る68mmを設定しています。更にSTD同径66mmもご用意していますが、こちらはスリーブに緩みが発生している個体に対し、スリーブ交換を前提とした設定です。
73mmを超えノーマルに対し圧倒的なパフォーマンスを手に入れられるビックボアも人気ではありますが。最近は以前にも増してSTD+α仕様を求められる方も多く、その様なご要望にもお応え出来るスペックを備えたピストンです。66mm/68mm共に排気量としてはノーマルもしくは+αですが、圧倒的軽量であるにも関わらず高剛性且つ低フリクションを実現しているこのピストンは、実際に乗ってみるとそれ以上のフィーリングと楽しさを味わって頂く事となります。また基準圧縮比を10.0:1とした上で、専用メタルガスケットの厚さを変更するのみで圧縮比を純正に近い9.22:1から若干ハイコンプ化した10.25:1迄調整出来る設計としています。
この為ノーマルピストンにハイカム等を組み合わせた際に起こりがちな圧縮圧力低下による低中速域での力不足に悩む事もありません。ノーマルカムからST1クラスのマイルドなハイカム迄様々な仕様を楽しんで頂ける設計です。
基本ノーマルスペックで組み上げたエンジン、見た目にもノーマル+αな車体構成。しかし乗ってみるとそれを遙かに凌駕する楽しさと耐久性というシナリオもありだと思います。
ところで「restomod」という言葉をご存知でしょうか。
restorationとmodificationを掛け合わせた造語でレストモッドと言うのだそうです。海外で派生した造語の様ですが、レストアに留まる事なく現代のテクノロジーやパーツ等を駆使し、オリジナルにリスペクトを向けながらも現代を楽しく安心して走れる様な作業とも解釈出来ます。
画像上は上記Pistal 68mmを組み込む腰下から顔出したコンロッド小端部です。長年の使用又はオイル管理の悪さ等で焼き付きや、それによるダメージが及んでおり、傷んだ内径表面を削り取った後にメタルブッシュを製作して圧入再生した物です。
この様に、レストアに留まらずリスクのない範囲でスパイスを加え潜在能力を引き出しつつ現代を走り抜ける。これも立派なカスタムでありチューニングだと思うのです。