非常に小さな真鍮の部品ですが、これはオリフィスです。
大きさ的には爪の先より更に小さなタイコ型ですが、中心にはキャブレターのパイロットジェット並に小さな穴が開いています。
使用目的は、以下の通りです。
インジェクション化の際にエンジンにかかっている負荷を測定する為にMAPセンサーと呼ばれる圧力センサーにインテークマニホールドからのホースを接続するのですが、そのままの圧力をセンサーに読み込ませると、インテークバルブの開閉に合わせて大きく脈動が起こり、正確に測定できません。
この為、オリフィスと呼ばれるこの細い穴を通してやる事で、その脈動を均して平均化する事が出来ます。
分かり易いイメージとしては、キャブ等でスロットル同調をする際に、同調メーターの針はアイドリング時には大きく振幅してしまって平数値が読めないものを、メーターに繋がるエア圧をダイヤルチョークで絞ってやって平均化させて針の振れを抑えてやるのと同じです。
多気筒車の場合は、この様に各気筒からの圧力を纏めてやる事で、更に正確なエンジン全体のマニホールド圧平均値を採る事が出来ます。
ちなみに、現代のカワサキ車等に使われているスロットルボディでは、MAPセンサーに繋げる為のホースニップルの内側穴が既にオリフィスの様に細くなっています。
こういったスロットルボディを流用する場合には、今回製作したオリフィスは不要です。
必要になるのは、MAPセンサーを使用していなかったDFI時代のスロットルボディや、負圧取り出し部が通常のパイプのみになっているタイプのスロットルを使ってインジェクション化したり、キャブレター車でもフルコンを使用した点火時期制御の為、MAPセンサーを使用する場合です。
ちなみに、4輪用として市販されているものはあるのですが穴径が少々大きくて、小排気量でありながらノーマルでもエンジンとしての性能が高い2輪の場合、圧力脈動を抑えきれない場合が多い為、更に穴径の小さなものを自作しました。
細かな使用方法や、適用についてはお問い合わせいただければ個別にお答えいたします。