キャブレター仕様のクラシックバイクのインジェクション化を行い、現代のフルコンを使っての制御やセッティング作業迄を行うのに装着したいセンサーの種類と数は下記の通りです。
・O2センサー
-空燃比を測定してセッティングはもちろん、エンジン運転中の燃料補正制御にも使用可能です。
・インマニ圧用のMAPセンサー
-シリンダーヘッドのインテークマニホールドの圧力を測定し、吸入される空気量を推定します。 エンジンにかかっている負荷を数値で知る事が出来ます。
・吸気温度センサー
-吸気するエアの温度を測定します
・水温(空冷エンジンであればヘッド温度)センサー
-冷却水温度もしくはシリンダーヘッドの燃焼室付近の温度を測定します
・スロットル開度のTPSセンサー
-スロットルボディのバタフライの開度測定します。
又、これに大気圧センサーが加わりますが、通常はフルコンであるECUに内蔵されていますので、別途装着する必要はありません。
上記のこれらが大まかには必要な数です。
写真の配線の数を見ると、いかにも数多くのセンサーが付いているかの様にも見えますが、想像したほどでも無いと思われる人も居るでしょう。
クランク角度をチェックする為の角度センサーも必要ですが、これはキャブレター車でも点火系用にポイントあたりの部品は装備されていますので、あえて挙げてはいません。
もちろん更に減らしてTPSかMAPのどちらか1つが付いていればとりあえず動く程度には出来ますが、キャブレターでは不可能な各種条件に対する補正制御が使えなくなる為、インジェクション化するメリットはかなり減じられます。
ヘッド温度センサーが無い場合、チョーク機能の様に始動時に必要な燃料増量が出来ない為、始動が難しくなるかTPS信号を手動で調整出来る様なアナログな機構が必要です。
又、状況に応じた補正がかからないと考えると、セッティングはキャブレターと同じく、ある程度の幅の中の妥協点を探るか、特定の走行条件や温度幅をターゲットにしてやる事になります。
ちなみに、1980年代前半のカワサキ車に採用されたDFIシステムでは、O2センサーとMAPセンサーを除けば、ほぼ全部が装備されています。
750turboには、インマニ圧ではありませんがサージタンクに過給圧を測定して燃料補正をかける為の圧力センサーが装備されていました。
とりあえずは、上記の各種センサーが装備されており、それらに対するセッティングさえ施せば始動時にも問題無く、季節や走行場所の変化による気温や気圧の変化にも対応可能に出来るでしょう。
冷間時で苦労無く始動出来、暖機終了前には点火時期を進めて燃料を増量。
逆にヒート気味になった際にはアイドリング点火時期は遅らせて必要以上の回転上昇を防止し、走行中には燃料を若干増量してエンジンのヒートを防止する等。アイドルアジャスターの頻繁な操作は不要です。
又、急激にアクセルを大きく開いた場合、単位時間あたりの変化率に応じて燃料を増量する加速増量機能を働かせる事が出来ます。
これは、FCRやTMR等のレーシングキャブレターに装備される加速ポンプ機能を条件に応じて遥かに細やかに大きな幅で設定できる様になっていると想像して下さい。
更にフルコンECUの種類によっては、上記の基本から更に様々なセンサーや機能を追加したアップデートも可能です。
ECU本体に走行状態の各種ログを記録出来るものもあり、実際に走行した際に車両個体にかかる生の負荷を検証する事で、シャーシダイナモ上では不可能な領域のセッティング迄行って行く事が出来ます。
ちなみにこの車両にはMAPセンサーをもう1つ、速度センサー、転倒センサー、CAN通信用の配線、燃料ポンプのスピードコントロールと電気式タコメーターへの出力を追加します。