初期の車両になると生産されてから50年近くが経過するZ系エンジンですが、長年使用したり整備の為にカムシャフトの脱着を繰り返す事で、カムホルダー部のシリンダーヘッド側雌ネジの破損が起こり易い事は良く知られています。
破損した場合でもヘリサート等の方法で修理する事も可能ではあるのですが、それ以前に長目のボルトに変更し、雌ネジの噛み合い幅を増やす事で負荷を分散し、痛みの進行を遅らせる事も出来ます。
上のシルバーのボルトがZ1系純正の首下45mm
下のものが今回使用する48mmのもの。
まず、Z1系のヘッド側ネジ部の断面はノーマルではこの様になっています。
下穴の深さに対して、雌ネジは2/3程度の深さ迄となっています。
おそらくはシリンダーヘッド製作時の加工行程の都合であろうとは思えますが、寸法的にはまだ深く迄ねじ山を切れる余地があるのがわかります。
使用タップは3種類、1番から3番迄交換しながら進める事で、より深く迄ネジ山を切る事が出来ます。
仕上げ用の3番タップと下穴を合わせたところ、3mm以上分切り足せる事がわかります。
タップ交換してはその都度底に溜まる切り屑を清掃しての作業をくり返します。それにより下穴の底迄ネジ山を作る事が出来ます。
加工後にはボルトを仮にねじ込んで、カムホルダーの座面高さに対してのボルト高さを必ず確認してから使用します。
組み込み用のボルトが長くなる事で、カムシャフトの組み込み時にもより遠くからボルトを雌ネジにかける事が出来る為、その際バルブスプリングのテンションでかかる負荷も減らすことが出来ます。