EFI(電子式フューエルインジェクション)化には、スロットルボディはもちろんですが、燃料であるガソリンを噴射させる為の圧力を作り出す高圧用燃料ポンプが必要です。
現行車では、この燃料ポンプはインタンク方式と言って2輪4輪問わずフューエルタンクの内部に置かれるのが普通です。
これは、燃料ポンプの耐久性が上がり頻繁な整備が不要になった事によりポンプを外装しない事でスペースを使わずに済む事や、燃料ラインの簡略化、又、ポンプ自体が稼働する際に発生する音や熱を周囲のガソリンで消音したり冷却する事が出来ると言うメリットがある為です。
ただ、カワサキのZ系をインジェクション化するには、純正タンク底部の形状の制約が大きい為、加工したとしてもインタンク用の現代のポンプユニットを収める事が難しい事から外装式のポンプユニットアッシで製作するのが普通です。
この方式は、タンク外のフューエルラインの途中にポンプを置く事からインライン方式と呼ばれます。
今回のZ1系に使用するのはこの様なレイアウトです。
従来の方式から一部 燃料ラインの取り回しを一部変更しています。
燃料ポンプは多少ボディが大きいのですが、国産の乗用車用純正の流用です。
容量的には、130〜140PSクラスのエンジン迄対応出来るものです。
ポンプ上にあるのは、加圧された燃料を通すフィルターです。ポンプ内部の摩耗等で生じるダストやガソリンが固形化した成分をここで止めます。
ちなみに、1980年代のカワサキのインジェクションであるDEIシステムにはポンプ以降にはフィルターは入っていませんでした。
現代のインジェクターは霧化効率を上げる為噴射孔数が増えた分一つ一つのホール径が小さくなっており、微細なダストの混入が大きな問題になりますのでポンプ以降にもフィルターを入れる様になっています。
更にその上にある青いフィッティングが装着されているユニットがプレッシャーレギュレーターです。
このレギュレーターが、ポンプ以降のインジェクターを含む噴射用のガソリン圧力を制御しています。
最も上部に位置するのは、ポンプやECU、点火系の電力をスイッチングする為のリレーヒューズボックスです。
ちなみに、現代車のパーツを流用してインタンク化出来た場合は、このリレーヒューズボックスより下の部品は全て1セットになってタンクの中に納まってしまいます。
フレームにマウントした場合はこんな感じです。
Z1の純正バッテリーケースの前側にユニットがマウントしますので、サイドカバーを装着すると横からは殆ど見えない位置です。
ポンプや配管が左右のフレームに対してぎりぎりになっているのがわかります。
インラインタイプのポンプは構造上どうしても大きくなりますが、空気や気化したガソリンで生じる燃料ラインへの気泡混入を防止する為、タンクからは低い位置にポンプは設置する必要があります。
この為、このあたりがZ系だとほぼ定位置となります。
Z1系をEFI化される場合には参考になるかと思います。