キャブレター車をEFI(電子式フューエルインジェクション)化する場合、当然車体側にはEFI用の配線がありませんので、それ用に作る必要があります。
こちらが今回製作中の車体側EFIシステムレイアウトに合わせてワンオフ製作したものになります。
一見非常に複雑なものに見えますが、実は全部が一体になっているわけではなく、機能毎に分割しています。
こちらはフルコンのECUに接続するハーネス
各種のセンサーからの入力と、インジェクターへの接続、フューエルポンプやイグナイターをコントロールする為の信号出力とスピードやタコメーターを稼働させる為のパルス出力、CAN接続用のポート、追加センサー用の5vとアースの電源出力と、各種のコントロール系がメインです。
イグナイターのコントロール用コネクター。
各種デバイスへの通信用CANポート。ノイズ防止の為、2本のコードを互いに縒り合わせているのは、PCでは良く見るやり方です。
ちなみに多くのECUはそれそのものは大電力の直接コントロールは行いません。
インジェクターは直接ドライブ出来るものが普通ですが、割と大きな電流が流れる燃料ポンプやイグニッションコイルはコントロール用の信号出力のみで、電流のスイッチングはECU外のリレーやイグナイターユニットで行います。
(一部のメーカーのECUでは、ポンプやイグナイター機能を持っているものもあります。その場合、発熱対策の為にECUが多少大型化したり放熱機能が装備されたりします)
こちらは、燃料ポンプやECUその他に流れる電流を制御する為のスイッチングリレーとヒューズを含むケースとハーネスです。
上記の通り、ECUではあまり大きな電流を直接コントロールは出来ませんので、この様にリレーを使います。
こちらは、ECUで制御された点火信号に従ってイグニッションコイルに流れる電流をスイッチングするイグナイターからの出力ハーネス。
イグナイターからコイルに繋がります。
赤いコード部分にはイグニッションコイル用にインラインヒューズが入れてありますので、万が一にコイル側がショート状態になってもイグナイターや制御系を破損しない様になっています。
この様にEFI系のハーネスを機能毎に分割しているのは、あくまで弊社でのやり方ですが、これは将来の整備時や各部部品と機能をアップデートを行い易くする為です。
分割しておけばその部分だけ外して交換や加工が行えます。
逆にメーカーの場合、車両生産時の組み込み工数や、部品点数を減らすコスト的な要求もありますので、 標準状態でEFIが装備されている現代の車両の場合は、メインハーネスに全ての機能を集約して一体化されています。
この為、灯火系や保安部品の不要なレーサーを製作する場合は、逆にEFI系をメインにした最小限構成のレーサー用メインハーネスが用意されている車両がありますね。
ちなみに、1980年代のカワサキDFI車は、車両側のメインハーネスとDFI用のハーネスは独立していましたので、DFIが不調になった車両をキャブレター化する場合はDFIのシステムとそれ用のハーネスのみを撤去する事が出来ました。
これは、メインの車両側とDFI系を別々に設計されたという面が強かったのと、やはり同時は新規に導入された技術の為、整備や修理の対応の為もあったのかも知れません。