いきなりですが、画像はつい先日まで自家用車の代車として二週間ほどお借りしていた新型の日産NOTEです。実はシリーズハイブリッドに分類される電気自動車でして、エンジン(内燃機)は搭載しておりますが直接動力として使用されてはおらず、あくまでも発電機としてのみ機能しています。
一般的に電気自動車(BEV)と言えば充電して走るというイメージだと思うのですが、この車両の場合は大型のバッテリーの代わりに発電機が乗っているとイメージできます。
この為充電を必要とせず通常のエンジン車と扱いは全く変わりませんが構造上その走行フィーリングは完全に電気自動車のそれとなります。
しかしこれがまた驚く程良く出来ていて、まず速い!このクラスだと考えるとビックリする位静かで速い。
とても気に入りました。真面目に自家用車として欲しいと思ってしまいました。ただ慣れの問題なのでしょうが、少々違和感も残りました。
さてお話は電気からアナログなエンジンに。
画像は本日のエンジン組み立て室での風景です。
トランスミッションがありクランクがあってピストンがあってヘッドがあります。日々この様にエンジン達と向き合う職に就く私達は、ガソリンを燃焼させてそれを動力として取り出すまでのプロセスが頭の中でシュミレーション出来るものですが、そうでなくともある程度は誰でも感覚的に理解が出来るものだと思います。
ちなみに、内燃機関と言うものはある程度の回転が乗ってからトルクが立ち上がります。エンジン特性カーブを見ればわかる通り、アイドリングからカーブが上昇し、最も高くなるのはそれなりに回転数が高くなってからです。
ところが、モーターはその特性として回り始る瞬間から即最大トルクを発生する事が可能です。低速トルクが有るとか無いとか、そんな論議には至りません。スロットルを開けた(踏んだ)瞬間からビュンッと加速です。
それにしても本当にその様に加速させると市販車としては危険なので、急激なトルクの立ち上がりはしない様に制御はされているらしいのですが、それでも常用域での動力性能と言う部分に限って言えば、内燃機では色々な意味で太刀打ちが出来ないでしょう。
何せ少し前まで良く出来たエンジンを「まるでモーターの様な」と言う表現を褒め言葉として使用していた位です。
ただ、それでも上記のNOTE。
エンジン車に比べて乗っての違和感は残ったわけです。
さて、画像↑は以前にも少しご紹介したL型リプレイスヘッドの試作一号機です。
試作ですのでこれから手直しが各部に入りますが、モックアップではなく火入れを前提とした試作ヘッドになります。シングルカムにターンフローの2バルブという旧臭いヘッドを何故に鋳造から造っているのかはまた次回お話したいと思いますが、一つだけ言うならこのエンジンが最高に楽しいと思っているからです。メーカーと一緒に自分たちで考えた燃焼室、ポート形状、ウォータージャケットデンザイン等々、これらがどの様な結果を生みどんな感動を味あわせてくれるのか、それは楽しみで仕方ないわけです。
人間はきっと得られる結果に対する過程が理解できていればいる程、それを楽しんだり味わったりする能力があり、逆にそうでない場合どんなに素晴らしい結果を得られていたとしても、その感動が薄かったり長続きしないのではないかと思う訳でして。勿論あくまでも個人的な意見です。それが内燃機に比べてモーター駆動の場合今一つ理解が出来ていない。もしくは理解し難い、そういう事だったんだと思います。手間暇かけサイフォンで炒れるCoffeeみたいなものでしょうか。
NOTEに少しだけ違和感を感じたのは電気自動車が理解できていなかったからなのかもしれませんね。電気自動車これから要勉強です !
ところで本家カワサキさんが純正ヘッドを復刻して下さっているので、ポートデザインや容量等を予め鋳造段階でパフォーマンスアップした空冷Z用のチューンドヘッドなんて言う物も造る事が出来たら面白そう・・・
・・・と秋の夜長は妄想にふけります。