たまたまクランクシャフトの点検依頼が重なりましたので、まとめて測定して行きます。弊社に御依頼される時は錆びない様に、油が付いている状態ですので、測定前に軽く洗浄し油や汚れを落としておきます。
洗浄が終わったクランクを測定用の治具にセットし、位相ズレの有無を簡易点検します。この位相ズレの点検は点検棒が4気筒共貫通するかしないかで簡易的な判断をします。注意点として、ただ単に点検棒が貫通出来れば位相ズレが無いと言う訳では無く、各コンロッド大端部、小端部のガタの有無を加味して判断すると言う事です。ガタガタの状態であれば、仮に位相がズレていてもガタの分でコンロッドが点検棒に矯正され、点検棒が貫通してしまいますので、それでは意味が有りません。Zのクランクの位相に関しては、許容範囲の中で元々位相ズレが有ると言う意見もあり、飽くまで簡易点検、目安と言う程度の位置付けです。
振れや、各ジャーナルベアリングの状態を点検、測定
各部のサイドスラストの測定
そしてここ数年、目にする事が増えたピストンピンが入る小端部の異常摩耗や損傷の点検。こうなってしまうと小端部にブッシュを製作し打ち込み適正化します。ブッシュを入れるに当たり、元々の小端部をボーリングしないといけませんので、クランクシャフトを全分解し、コンロッド単体にする必要が有りますので、通常の非分解の芯出し等の修正作業とは行かず、全分解のフルリビルトになってしまいます。
通常はこの様に綺麗な状態で、内径が基準値内でしたら問題有りません。
こちらはマグネットローターが付くテーパーエンドです。このクランクはキレイですが、殆んどのクランクはマグネットローターが荒れていますので、ラッピングし適正化します。
程度の良いクランクが本当に減ってしまいました。一昔前なら程度の良いUSED品に交換出来ましたが、現在は程度の良いUSEDクランクは入手困難ですので、リビルトするケースが増えました。今回御依頼頂いた3本のうち2本は通常の非分解の芯出しで大丈夫でしたが、小端部の損傷がひどかった1本は小端部のブッシュ加工とフルリビルトする事になりそうです。リビルトして良かったと体感してもらえる様にしっかりと作業して行きます。