オイル漏れ対策依頼という事でお預かりした、750RS(Z2)のステーターコイル。
液体ガスケットをコード取り出し部分に盛っても押し込んでも、オイル滲みが止まらない状態になっています。
写真を見てもわかりますが、コードの取り出しグロメットを通っているステーターコイルコードには、ガラスメッシュが巻いてあります。
これは、初期のZ1やZ2にみられるタイプで、おそらくは熱によるコード被膜の硬化や劣化を防止したいと考えての事だったのではと思われますが、この様にガラスメッシュでコードが覆われていればグロメットのゴムでシールされていてもオイルは滲みやすくなります。
又、液体ガスケットを塗布してシールしようにも、メッシュ自体に染み込んだ油分を完全に脱脂する事は難しく、コードに定着出来ません。
この為、後期のKZ1000系になるとコード被膜自体を耐熱性のものに変更され多様でこのガラスメッシュは無くなりました。
従って、今回の対策修理では同様に耐熱被膜コードへの交換を行います。
作業内容は、写真を見ればわかる通りです。
ステーターの銅線と、コードのカシメ部分の半田を溶かして新しいものをカシメ直して再度半田付け。
コードは、半田の流れの良い錫メッキ導線を使用しています。
後は、絶縁の為の細いガラスチューブでカバーして、元に戻します。
この後は、コードをグロメットに通してから、いつも通りにゴム対応のエポキシ接着剤でコードをシールします。
作業自体は材料さえあればシンプルで、半田付けに慣れている必要がある他は特殊な技術等は不要なのですが、実はステーターコイルの脱着や洗浄、ジェネレーターカバー側のガスケットやシール材の清掃に脱脂等の準備の方が数倍時間がかかります。