これは先日試作したZシリーズ用シリンダーブロックです。
一見した見た目は純正のZ1用と変わりません。
アップにすると、純正品とは明らかに異なる肌の表面が見えます、実はこれは純正の様に金型を使用したものでは無く、非常に目の細かなキャスト用サンドを使用した精密砂型での低圧鋳造で製作されています。
さて、単純にレプリカを作ったのでは意味がありません。
何故にわざわざ砂型かと言えば、実は見た目は同じでもシリンダースリーブの燃焼室近くの外周を回る様にオイルライン取り廻してあります。
極最近の車両でも採用されている手法ですが、これにより最新型の油冷エンジンと同様に、オイルによってシリンダーヘッドに近い側を積極的に冷却し、空冷エンジンの熱膨張分布のばらつきを抑制しています。
更に、ノーマルではブロックの機械加工後に圧入されるシリンダースリーブは、ブロックの製作時に一体にて鋳造しています。
更にスリーブは圧入用では無く外周部を可能な限り粗く仕上げた状態で鋳込んでいます。
この様にブロック側との接触面積が非常に大きく一体度が高まる事で、スリーブからアルミのブロックへの熱伝導性が従来製法に比較して遥かに向上し、更に長年の使用によるブロックの緩みや回転方向のずれはほぼ発生しなくなります。
又、スリーブを大型としても、鋳造時に一体化したブロックは剛性を高いレベルで維持します。
それにより、ハイパワー化しても温度に関係無くシリンダー内部の真円度が保ち続けられるのでエンジン回転は驚く程軽く回っていきます。
このシリンダーブロックのボアは純正の66mmのままで圧縮比を14:1迄ハイコンプ化してたテストエンジンでは、ダイナモ出力が純正時の70PSから130PS 迄アップしてもブロックの歪みも無く、走行中のシリンダーヘッド温度はノーマル車に比較しても無いレベルに収まりました。
さて、現代で考えられる最新の技術を投入したシリンダーブロックですが、何よりの問題は量産した場合のコストです。
何より本日は4月1日でしたね。
新年度よりの妄想にお付き合いいただきありがとうございます。