エンジンをオーバーホールされるお客様に、バルブスプリングが消耗するとどうなるかと聞かれました。
以前弊社のESバルブスプリングを製作した際に様々と記事にしているのですが既に4年以上が経っていますので、読まれた事の無い方もいらっしゃるかも知れません。
一般的に、スプリングは相当の期間を使われて消耗した状態になっても、正しいセットアップや環境で使用されたものは、まず折れたりする事はありません。
又、圧縮する長さに応じて増える反力のレートにも、それが使用範囲内である限り変化は起きないのです。
では何か起きるかと言えば、フリーにした際の全長(自由長)が縮みます。
例えば、バルブをヘッドに組み付けるとした場合、組み込みされる長さ自体は変わらないのですが、自由長が短くなると組み付けするのに圧縮する分はそれだけ小さくなります。
そうすると、本来必要なバルブをシリンダーヘッド側のシートリングに密着させる為の荷重が低くなります。
本来かかるべき荷重(Z1系純正だと、バルブ一本あたりの閉鎖時荷重は30㎏前後)が大幅に下がると、バルブの開き始めで最も加速度が高くなる際や特に閉じる瞬間に適切にバルブがコントロールされなくなる為、吸排気が設計された通りに流れず、パワーダウンの原因にもなります。
この為サービスマニュアル上では、自由長を目安にしたり既定の高さに圧縮した際の荷重を測定しての点検方法が記載されています。
ただ、この規定値迄行かなくともZ時代の純正のバルブスプリングは現代の素材に比較して縮みやすい傾向はありますので、エンジンオーバーホール時等で分解する機会があれば交換もおすすめしています。
ちなみに、弊社のESバルブスプリングは 、現代の乗用車や実用車で数十万km無交換使用する基準で作られた 素材や製法技術で製作しています、常用回転数の高いオートバイにて長年使用しても自由長の縮みにくいものとなっていますので、純正に比較して非常に長く安定した性能を維持出来ます。
この為チューニング車のみでなくノーマル車両にもお勧め出来ます。