エンジンOH時に考える事も多いと思われるポート研磨加工。ポート加工と一口に言っても色々でして、ポート径は変えずに段付き等の修正に留める物もあれば、大幅に形状も径も拡大してしまうもの等。
このポート加工ですが基本的には完全に手加工×8カ所となる為、時間工賃で追いかけてゆくとそれなりのコストが計上されます。費用対効果としてどうなのか?と問われると気軽に推奨出来るメニューではありません。
またカムを筆頭にエンジンスペックがノーマルに順ずるレベルであったり、排気量を上げてもトルク重視でピークパワーを望まない場合等も費用対効果は薄いものとなるかもしれません。
さて、上のグラフは現在進行中のZ2エンジンに使用するヘッドのフローデータです。縦軸が空気流量で横軸はバルブリフト量です。そして赤線がノーマルで青線がポートに手を入れた物です。またストリート主体ですので大袈裟なポート径拡大や形状の変更も行っておりません。ポート単体でのデータ比較の為バルブ径は共にノーマルを使用しています。
これを見て分かるのはバルブリフトで6mm位迄はノーマルもチューンドポートもそれほどフロー率は変わりませんが、そこを超えて7mmリフト辺りからはその差が大きく広がり始めます。また「ハイカム」と言われる社外カムの場合9mm半ば~11mmリフト程度が一般的です。
ノーマルポートのまま「ハイカム」を組み込んだ場合7mmから上でやや苦しくなり、やはりチューンドポート仕様の方が有利なのがわかります。逆にカムも排気量もノーマルであれば段付き修正等は効果的であってもノーマルポート形状とポート径で何ら不都合は無いと言えます。
ですから排気量も圧縮比も上げてハイカムに交換となると、やはりそれらを最大限に活かす為にポートチューンは施したいところです。
何事もトータルでのバランスが大切ですね。