シャーシダイナモは、全開域のパワーパフォーマンスのみを測定する為の機械では無く、特にリターダーと呼ばれる負荷装置を使うと、キャブレターやインジェクションの中低速域の燃調はもちろん、点火マップの検討や修整にも使用しています。
上で走行状態としているZ1000Jは、トップギアの約2,500rpmで巡航運転を再現しているもの。
走行スピードは65km/hとなっていますので、完全に平坦か僅かに下り勾配の直線路を極々僅かにスロットルを開けて流している状態となります。
この際、ただ空走させるのではなく、走行時の路面からの抵抗を再現するのにローラー側にリターダーで僅かなブレーキをかけながら、その状態で調子良く走れる燃調や点火時期を探しながら調整しています。
動画のこの状態でのスロットル開度は、僅かに0.2~0.4%。
アイドリング時の全閉にほんの僅かだけアクセルを当てたというレベルです。
そして、巡航中の極々低負荷状態では、吸入される空気量も非常に絞られており、ノックの可能性も低くなる為調子良く走れる点火時期はかなり早く出来る様になります。
この車両では、点火時期の補正にはスロットル開度とインマニ圧力の両方で行っていますが、回転数に対してスロットル開度が非常に少なくインマニ圧力も低くなっている領域では、低負荷巡航状態として大きく進角補正がかかる様にしています。
こういった補正を取り入れる事で、圧縮圧力の高いチューニングエンジンでもノッキングのリスク無くよりスムーズに前に転がり出す様なセッティングが出来る様になっています。
ちなみに、この補正方法はインジェクションに限らず点火系制御のみにフルコンを使用した場合でももちろん可能です。