インジェクション化と同時に、ピストン交換等のチューニングメニューのテスト車であるZ1000J。
今回はカムシャフトの交換等のテストを行う予定もありますので、ピストン交換比較の為にあえてそのまま使用していたカムチェーンを交換します。
こちらのエンジン自体を腰下迄分解した際には純正部品のサイレントカムチェーンを使用しておりました。
走行距離からそれ程伸びているわけではありませんが、チューニングを進めるにあたり今回は現在ラインナップしている耐摩耗性の高いものに交換です。
チェーンに関しては、駆動系のドライブチェーンもそうなのですが、サイズ等の規格が同じでもZ系やJ系が新車当時の純正より強度や耐摩耗性の高いものがメーカーから供給されている場合があります。
一般的に強化カムチェーンと呼ばれるものは、純正より破断強度等は高くても重くなり、ストリートレベルでのチューニング内容によってはデメリットの方が出てしまう場合もあるのですが、こちらのサイレントチェーンは純正部品より強度がありながらも軽く、耐摩耗性の高さで伸び難いタイプになっていますのでお勧めです。
http://pamswebshop.my-store.jp/shopdetail/000000000008/ct40/page1/recommend/
さて、カムチェーンの交換は通常ケースまで分解してクランクシャフトを取り外すところですが、今回はチェーンメーカーより供給を受けた専用のジョイントリンクを使用してシリンダーヘッドもそのままでカムシャフトのみ取り外した状態で交換します。

カムチェーンの交換時に大事なのは確実なカシメ作業ですが、それにも増して重要なのが、命綱と呼んでいますカット後のチェーン脱落を防止する為に使うコード。自分は不要な導線を使いますが、実際には紐で縛ってもかまいません。

カット中のカムチェーンをケースの中に落とすと、結局シリンダーあたりで分解しなければならなくなったりしますので、ここは確実に縛ってから専用工具でカットします。
カットした片方に、同じくカットした新品のチェーンを銅線を使って仮繋ぎして新旧を入れ替える様に送ります。柔らかい銅線を使用するのは、チェーン自体やクランク側等のエンジン内部を痛めない為です。

J系はクランクホルダーの構造上クランクシャフトを回転させなければチェーンが送れない為、弛ませてチェーンをクランク側に噛み込ませない様に前後方向からカムチェーンを軽く引っ張りながら少しずつ回します。
カムチェーンを通し終わったら、ジョイントリンクを使用してカシメを行います。
Z1系のローラーチェーン用に比べてチェーン間に組み込むプレート部品が多いので、脱落させない様慎重に作業します。

しっかり繋がりました。マーキングした部分がジョイントリンクの場所です。元々の部分にも増してピン先の全周をかしめていますので、通常の使用環境ではここで外れることはまずありませんし、エンドレスタイプ同様に使用出来ます。

さて、サイレントタイプの多プレート型カムチェーンのジョイントリンクによる交換作業は、Z1 系のローラーチェーンタイプより若干だけ難易度の高いものになります。
それでも、エンジンを全分解せずに消耗したカムチェーンを交換できるメリットは大きいかと思えますので、ご興味のある場合はお問い合わせ下さいませ。