オートバイの車体には、写真の様な多くのクリップが使われています。
これは軸の溝に着けるタイプで、主にエンジン内部に使われています。
Z系だと、組立クランクのエンド部やトランスミッションに使われて、主にベアリングやトランスミッションギアを抑えています。
他のタイプでは穴の溝に入れるタイプもあり、そちらのタイプはホイールベアリングの抜け止めになっています。
ちなみに製法はいずれもばね鋼をプレスにより打ち抜いて作られています。
従って、断面を見ると必ず片面は丸みを持ち、反対面はシャープなエッジを持つ様になっていますので、上の写真も下の様に拡大すると明らかな違いがあります。
こちらは丸い方
こちらは断面がシャープな方
さて、このクリップの使い方ですが、必ず押さえる対象物の側に丸い方を向けて溝に嵌めるのがセッティングの基本です。
そうすると平面な方が溝の壁に当たり、より確実にクリップが効果を発揮する為です。
逆に、平面な側を対象物側にすると、軸方向に外れようとする力がかかった時にクリップの丸い部分がクリップを自己変形させて外れる可能性が高くなる為です。
対象物がトランスミッションギアやベアリングでも同じです。
少しでも外れるトラブルが少なくなる様にします。
この基本はメンテナンスの基礎なのですが、実は意外な程守られずに組まれているクランクシャフトやミッション、ホイール等も多く見ます。
サークリップの使用されている場所は、横方向に外れると大変問題になる場合が多いので、少しでもその可能性を少なくするに越したことはありません。
さて下の写真は、オイルポンプのドライプギアをシャフトに装着する為のEクリップですが、これの使い方も同じです。
小さいので少し見難いのですが、こちらが丸い面。
拡大するとわかります。
こちらは平面になっている方です。
従って、このクリップを使用する際には、必ずギアの方にクリップの丸い方を向けて組んでください。
ドライブギアが脱落したりすればエンジンに重大な破損が起こる可能性がありますので、リスクは可能な限り低くするべきです。
クリップが取り付く際のイメージです。
平面側が力がかかる方向になる事で、面が溝に当たるのがわかるでしょうか。