インジェクションチューニングを行う際、通常フルコンECUは最近の低抵抗インジェクター(12Ω前後)であればドライブする為のパワートランジスターが装備されているので直接インジェクターに接続できるのですが、イグニッションコイルは純正品でも1次側が3Ω程度からそれ以下と抵抗値が小さく、制御する為の電流が非常に大きな為、外装式のイグナイターが必要になるのが普通です。
これは、制御用のトランジスターの発熱が大きく、その放熱の為の余裕が必要になる為ですが、外装式にする為にECU本体のサイズの小型化と構造的な耐久性に余裕が持たせることが出来たり、制御部のECUとイグナイターを別部品にする事でアップデートやメンテナンスを個別に行う事が出来るというメリットもあります。
デメリットは部品点数が増えてしまう事ですので、例えば点火専用でもある純正やASウオタニさん等のユニットでは一体式で、回路をシンプルにされています。
その分、取り付け時に構造はシンプルとなりますが、制御部の隣に発熱するイグナイターが同居する為、高性能化した場合は放熱の為の構造的な対策が必要です。
ウオタニさんのユニットがアルミ筐体で、内部を樹脂モールドされているのはトランジスター部の放熱の為だと思いますが、低抵抗のイグニッションコイルを使用する分純正のイグナイターより流れる電流が多い為か、実際エンジン運転中にボディが温かくなります。
ちなみに、制御部ECUとイグナイターが一体式のイグナイターユニットが経年劣化で破損する場合は、その殆どがイグナイター部分のトランジスターかコンデンサーである場合が多いです。
さて、写真のものはフルコンECUで有名なHALTECH社が用意しているイグナイター。
内部はドイツのメーカーのOEMで、特にHALTECHのECUにしか繋げないわけではありませんので、自分もLINK社製のECUに接続したりして使っています。
こちらはDualアウト。
2つのイグニッションコイルを個別制御出来ますので、2気筒車や、Z系を含む4気筒車でコイル2個の同時点火方式車に使います。
こちらはQuadアウト。
4つのイグニッションコイルを個別制御出来ます。4気筒を独立シーケンシャル制御する場合や、Z系であればコイル4個のツインプラグ点火システムに使用します。
いずれも背面がアルミ板になっていて、ここに熱伝導性の高いシリコン系グリスを塗った上で放熱板にマウントして使用します。
構造的に発熱量が倍になるQuadタイプは、放熱面が大きくなっているのが表面からもわかります。
熱が出るイグナイターの接地位置や放熱部分の製作や設計に自由度がある為、作り方によって耐久性を上げる事が出来ます。
又、最近では4輪車を中心に、プラグコードの無いダイレクトイグニッションコイルの中にはコイル自体にイグナイターを備えるものが多くなっています。
この場合はECUから直接イグナイターコイルに接続出来ますが、シリンダーヘッド側にそのコイルを支えてマウント出来る構造が必要になります。