弊社への入庫車両でも最近は非常に使用率の高い、リチウム系バッテリーです。
特にSHORAI社のものは弊社でも取り扱っていますが、シェアは高いです。
何よりの利点としては、旧来の液入りバッテリーの様に旧車に大敵の充電時に出る腐蝕性の硫酸ガスの放出が無い事と、同様にガスが出ない密閉型バッテリーに対しても大幅に軽い事があります。
ただ、この軽い事に対して誤解されている人も多いのですが、これはセルモーターによる始動時に必要な電流を一気に流せる量が同程度のバッテリーであれば、小さく出来ると言う事であって、バッテリー内部に貯められる電気の量そのものが同じなのに小型軽量と言うわけではありません。
ちなみに、Z系によく使われる小型サイズのLFX-14L2-BS-12ですが、この数字の表記の意味するところは12V で始動時に放出できる電流の量が、純正サイズのYB14L-A2と同レベルか上回っているという事です。
実容量はケース底部にあるステッカーに表記があり、4.0Ahとあります。
これはYB14Lの14.0Ahと比較すれば、30パーセント以下という事になります。
もちろん、オートバイはそれ自身が発電機を備えますので、始動出来るだけの電気の量があればその後は発電機から供給される電力が車両を動かし、バッテリーはあくまで電圧の上下を安定させる為の貯水槽の役目となりますので、それそのものに貯められる容量の小ささは問題にはならないのですが、小型軽量のリチウムバッテリーは、あくまで始動してやる為には充分以上と言う特性のものであって、従来のものと同じ容量の電力が貯められているのに小さいというわけではありません。
リチウムバッテリーの最大の特徴は、容量の小ささの割に始動時の様な必要時には一気に電力を放出出来るところです。
例えて言えば、水を注いだコップだと思ってください。
コップを逆さにすれば、水は一気に注げますが、無くなるのは早いです。
反面、従来のバッテリーは水を入れたペットボトルです。
中に入っている水の量はコップよりは大きいのですが、ペットボトルは出口が小さいので逆さにしてもすぐに大量の水は出て来ません。
その代わり、長い時間流れ出続ける事は出来ます。
通常に始動して走らせるには、上記の様にスターターで始動させるだけの間電流を放出出来れば良いので、このリチウムバッテリーの容量の少なさは問題にはなりません。
更に保管時にも自己放電による充電電力の現象も小さいです。
ただ、問題はエンジンを始動させずに各種の電気デバイスを長時間使用したりすると、いざ始動の際に必要な電力が残っていなかったりします。
又、微弱な電力でも消費し続けるタイプのセキュリティシステム等を使った場合は、従来の液入りバッテリーであれば問題無い期間でもバッテリーの容量が無くなってしまうケースもありますので、この部分には注意が必要となります。