預かり整備をお受けしたフロントブレーキ一式のマスターシリンダー
Z1系の純正よりかなり新しい車種の流用ではありますが、15年以上はフルード交換等の整備は行われてはいなかった様です。
当時ものの車両で不動状態になっていた様なZ系の純正マスターシリンダーだと、リザーブタンク内のフルードが揮発して内部が砂糖菓子の様になってしまっている様なものも見ますが、それに比較すればかなりの劣化は見られるものの液体状態です。
それでもこのままフルードのみの交換と言う訳にはいきませんので、最低でも分解清掃と内部部品の交換は必要でしょう。
取り出したインナーピストンのシールにはリップの摩耗も少ないので、走行に使った使用期間は短かったのではと思いますが、外側のシールからの若干のフルードが滲み出したと思われる痕跡が確認出来ます。(シールの白くなっているところ)
シリンダー内部を洗浄して拭き取り確認したところ、内部におそらく液状になった水分による腐食痕が確認出来ます。
プライマリーシールとアウター側のシール間のフルードは、リザーブタンク内の空気に触れますので、長年不動であった車両はこういった腐食が発生し易くなります。
ただ、ブレーキフルードの圧力を発生する為のプライマリーシール部分にも腐蝕が見えます。
内部を研磨すれば使用はとりあえずの使用は可能かも知れませんが、ブレーキはドレスアップ部品ではありませんし、万が一にも不調が発生すれば危険でありエンジンよりも大事ですので、このマスターシリンダーは使用せずに、国産高年式車用のマスターシリンダーを新品アッシで流用する事になりました。
ノーマルのZ系マスターも同様です。
ユーザーさんの好みで当時の純正品を使用したい場合もあるかも知れませんが、分解整備時に内部に腐食が見受けられる場合は信頼のおける製品への交換をお勧めします。