弊社ラインナップにあります、Z系エンジン用として非常にバランスに優れたベースガスケットです。
シリンダーブロックから上を分解整備する際に使用する腰上の4pcsセット(ヘッドカバー,ヘッドガスケット,センターシール,ベースガスケット)にはこちらのベースガスケットを標準としています。
CGとはカーボングラファイトの略称です。
この素材は、ブロックやケースの対象面への張り付き密着度が非常に良好です。
又、純正当時のアスベスト素材の様にアルミ面を腐食させる様な攻撃性がありません。
又、非常に柔らかく滑り特性にも優れる為、長年の使用で整備を繰り返された為に生じたガスケット当当たり面の多少の傷や歪み、僅かな腐食面による窪みにも素材が流れる様に滑り込む為、ベースガスケット部分からのオイルリークをしっかりと防止してくれます。
この為、組み込み時にはガスケット面の脱脂をしっかりと行っていただき、余程の深い傷がある部分を除いては液体ガスケット等は塗布せずに組むのがベストです。
更に、カーボングラファイト自体が非常に耐熱性のある素材です。
例えばノンアスベスト素材としてファイバーをゴムバインダーで固めたタイプのガスケット(純正品でも使用されていたサーモンピンク色のものがそうです)は、年単位で使用するとどうしてもゴム成分が硬化してしまう為にケース側とブロック側との膨張差に追従出来なくなる場合があるのに比べ、カーボングラファイトはそれにも追従してシール効果を発揮し続けます。
弊社で10年近くも以前にこのガスケットを使用して組んだエンジンは、当方が知る限りオイル滲みする事も無く使用されています。
上記の様に密着特性に優れる為、エンジン分解時にはガスケット面に柔らかいカーボングラファイト層が剥離して張り付いています。これの清掃が作業場必要になりますが、経年や熱による硬化がほぼゼロの為、木製のスクレーパーや爪ででも除去出来ます。
僅かに表面に残ってもオイルストーン等で削る必要は無く、パーツクリーナーを含ませた布で拭くのみで綺麗になります。
漏らさず剥がし易いCGガスケット
以上の事から、このCGベースガスケットが最も向いているのは、ストリート仕様のノーマル~ライトチューンのエンジンで、特にオイル漏れ耐性を長期に渡って重視したい場合。
又、シリンダーブロック座面やケース側の面研磨等が行われていない車両になります。
使用条件及び留意点は下記の通りです。
この様に柔らかい素材の為、エンジンに組み込み後はノーマル車両の新車同様に、最初に火入れを行い数十~数百km程度走行後にはシリンダーヘッドナットのトルクチェックを行う事が推奨です。
又、素材の仕様上新品ガスケット厚さから約10%前後の組み込み時圧縮が見込まれます。これはカワサキの純正ベースガスケットにおいてもそれを前提として設計されていますので、通常は問題はありません。
但し、この圧縮による現寸を考慮すると、ガスケットを複数枚重ねてのブロック高さ合わせ等には推奨は出来ません。このカーボングラファイト素材構造のガスケットの場合、重ねてしまうと同じ10%でもその圧縮幅が大きくなってしまう為です。