こちらは、整備中車両から取り外した、純正インシュレーター16065-1135です。
弊社のラージインシュレーターの開発中にもテストして記事にしましたが、1990年頃より2010年代前半位迄に生産された純正インシュレーターに使用されているゴム素材は、ガソリンの影響を受けて大きく膨潤してしまう傾向が強いです。
更にその後変形して熱によって硬化します。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=22393
こういったものを製造される方面からのお話では、環境に対する規制等が入った時期らしく、メーカーもゴム素材については色々試行錯誤されていたらしいのですが、この時期前後の純正インシュレーターに比較しても明らかに品質が劣っている様に感じます。
純正インシュレーターはこの断面の通りシリンダーヘッドと接するリップ部分を柔軟にする為と、取り付け部分の剛性を高める為の内部構造になっています。
ただ、この形状でインテークを流れるガソリンによって膨張したゴムは、ポートの内側に向かって広がる事になり、その結果がこの様な状態です。
このインシュレーターが組み込んであったZ1シリンダーヘッドは、新品時のこのJ系用インシュレーターに合わせてポートの拡大を行われていた様なのですが、比較するとこの様に吸気の流れを阻害する様に内径が小さくなっています。
上下部分はフランジ部分の形状故に、浸みたガソリン成分が抜けにくい為傷みやすいのですが、特にスロー系のガスが流れ続ける下側は症状が酷くなります。
膨張仕切ってフランジ部分から剥離したゴムは、更にエンジン側の熱で硬化しますが、この個体では割れた欠片が脱落して燃焼室側に吸い込まれてしまった様です。
運良くバルブとシートリング面に噛み込んでしまう様な事が無く、そのままエキゾーストから排出されたのかそれとも燃焼室で燃えてしまったのかも知れませんが、エンジンを破損する様な事に繋がらなかったのは運が良かったかと思います。
この時代のJ系用純正インシュレーターを使用しているZ系車両では、かなりの個体で同様の事が起きているかと思えますので、そのままになっている場合は必ず内部を点検する事をお勧めします。
又、弊社のラージインシュレーター製作時には、特にこの耐ガソリン特性には注意してゴムの選択を行っています。
http://pamswebshop.my-store.jp/shopdetail/000000000193/