先日販売を開始したSILベースガスケットを、シムプレートを間に挟んで厚いベースガスケットとして使用する方法についての記事ですが、従来から販売しているNBRベースガスケットでは同様の使用方法は非推奨としています。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=24132
実は以前にも、NBRベースガスケットを2枚重ねて高さ調整出来ないかというお問い合わせはあったのですが、その際にも弊社としては同様に非推奨と回答させていただいておりました。
理由としては、NBRベースガスケットの表面にコーティングされているNBR(ニトリルゴム)層の厚さにあります。
これは、厚さで2種あるラインナップの内、薄い方の0.38mmのNBRベースガスケットのゴム層を剝ぎ取ってみたところです。
0.2mmのスチールプレートの両面に硬質のニトリル系ゴムをコーティングしている構造です。
例えば、0.38mmのガスケットの場合、片面のゴム層厚さが0.09mmの両面では0.18mmです。
このガスケットを2枚重ねるとすれば、ゴム層の総厚さは0.36mmとなります。
弊社ではZ系にても様々な組み合わせにて検討しています。
NBRベースガスケットに使用されている表面硬度のニトリルゴム層厚さの限界は、0.45mmのガスケットにおいての両面計0.25mm迄が適正で、厚さ0.30mmを超えると厚過ぎて潰れ代が増加する分NBRベースガスケットのメリットである剛性の高さを損ねると判断しています。
この為、NBRベースガスケットについては、2枚以上を重ねて使用する方法を勧めてはいません。
NBRガスケットの特性を生かすには、原則1枚のみで適切にご使用下さい。
ちなみに、SILベースガスケットのシリコーンゴム層厚さは片面が最大で0.02mm(20μm)程度なので、1枚あたりのゴム層厚さは0.04mm。
2枚重ねても0.08mmを下回り、0.36mmのNBRに比較して遥かに薄いのですがシリコーンゴムは流動密着性が非常に良好な為に高い耐リーク特性を持たせることが出来ます。
この為、シリンダーヘッドガスケットの様に重ねての組み合わせ使用が可能となります。
逆に、SILベースガスケットはシリコーンゴム層が柔らかい為もありNBR(ニトリルゴム)の様に厚くする事は出来ません。この為メタルプレートをベースにするプレスビードタイプの場合、0.2mm以上の厚さの製作は困難です。
ベースガスケットは使用目的に応じてお選び下さいませ。