Z系~J系のシリンダーヘッドは、ポートやバルブの径に燃焼室の大きさ等は年式によって変更はされているものの、基本的なディメンションや構造そのものは同じです。
このカムホルダーも、リブの入り方や厚みこそ変わりましたが、2か所のカムジャーナルを一体のホルダーで保持する構造は初期から最終型迄変わってはいません。
ちなみに一体式であるが故なのですが、ホルダー位置決めの為のドエルピンは対角線上の2か所のみとなっています。
ただ、この方式の場合は各ジャーナルの反対側の位置が固定されていない為、長年ヒート気味に使われたりしたり、一度当たりの走行距離が短くて温度上昇と冷却の頻度の多かったりしたヘッドの場合、赤い矢印の方向にカムホルダーが変形して開いてしまっているものもたまに見ます。
この変形度が大きい場合、カムシャフトジャーナル部のクリアランスが正常を保てない場合があり、フリクションが増大するのみで無く、カムメタルやカム側の受け部の変摩耗や焼けの症状が出る場合もありますので、注意が必要です。
又、これは変型とは異なりますが、シリンダーヘッドの整備に伴いカムシャフトの脱着が頻繁に行われていたもので、4本のホルダーボルトを均一丁寧に締める様に作業が行われていない場合はドエルピンの収まる穴が変形して、きちんと位置決め出来ないカムホルダーも見る事があります。
写真の様にドエルピンの部分のボルトを緩めに締めて、ホルダーを斜めに揺すった際にガタが感じられる様であればドエルピン穴は変型して緩くなっています。
この場合もやはり上記同様にメタルやカムジャーナルに問題が起きます。
長年使用されたシリンダーヘッドは、組む前にカムホルダーの状態の点検をお勧めします。
Z1系であれば現在入手できる復刻品のシリンダーヘッドを使用するのももちろんありかと思います。