お盆を越えてもまだまだ暑い日が続きますね。
夏場は空気密度が低くなる事で相対的に空燃比が濃い方向になります為、走り出す前のエンジン始動性は通常良くなり、回転の安定も早いです。
実際モニターしていると、シリンダーヘッドの温度は冬場に比べると上昇が早い事は数値でも確認出来ます。
(ソフトウェア仕様の都合で水温と表示されていますが、これがヘッド温度です)
状況にもよりますが、エンジン始動後約1分で90℃迄達しています。
ただ、エンジンの安定は燃焼室の温度に依存しますが、エンジオイルは燃焼室の近くを通ってはいません。シリンダーヘッドの上方のカムシャフトジャーナル部分から滲み出す様に出て、カムチェーントンネル部分から落ちていきます。
この為、夏場でも始動後のエンジンオイル温度上昇はイメージに反して非常に緩慢です。
一分以上経っても、外気温と大差ない油温である事がわかります。
ちなみに、クランクケースより下の部品、クランクシャフトやミッションの温度は、オイル温度と大差はありませんから、この状態ではシリンダーヘッドやピストンこそ暖まりはしていても、それ以外の部品の暖機はまだまだです。
従って、夏場は暖機時の回転安定こそ早くとも、やはり最初はオイルを含む全体が暖まる様ゆっくりと走り出す事が望ましいです。
ちなみに、上記の状態でゆっくりと走り出し、約2分。
ヘッド温度は113℃に達しています。 走行風が当たる為、それほど急激には上がってはいません。
ただ、イメージ的には回転は完全に安定し、普通に回しても良いのでは無いかと思えます。
それでも、油温はまだ47℃。
エンジンオイルの設計温度が80℃以上と言われていますので、この状態でもまだまだです。
エンジンの仕様にもよりますのであくまで目安ですが、夏場でもゆっくり走りながら温める様にして、最低5分程度はエンジンに高負荷であったり急激なアクセル操作を避けてやった方が、エンジン全体の寿命にも良いかと思います。
オイルクーラーの装備された車両であれば、尚更暖機中の油温上昇は緩慢になりますので、注意が必要です。
ちなみに、オイルポンプは油温が低く粘度の高い状態ではどの様な形式のものでも構造上ギア軸部には非常に大きな負荷がかかりますので、油温の低い状態で回転数を上げてし舞う頻度が高いと、ボディ側軸受け部分の摩耗が非常に早くなります。
夏場で粘度の高いオイルを使用している場合もまずはゆっくりと暖機を心がけて下さい。
オイルポンプ消耗の参考記事です。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=22500