これは、一般的にオートバイの操作系に使用されているインナーケーブルです。
このタイプの編み方のものは耐久性面に優れるという事で30年以上も前に採用が始まり、純正品、社外品も含めてこのタイプのものが現代でも主流です。
ただ、Z系に使用されるドライブチェーンが当時の630規格の極太タイプから、現代では遥かに細い520でエンジンチューニングした車両にでも容易に耐えるものがある様に、ケーブルも進化しています。
ちなみに下に並べてあるものは上の2.0mm径に比較して1.5mmと3/4の直径ですが、実は最大破断荷重は変らない強度があります。
たった1.5mmのケーブルも解してやるとこれ程の本数から構成されています。
又、表面が全体に光っているのは、成型後に表面を研磨してある為です。
強度はもちろんですが、コントロールケーブルとしてのフリクションロスの低減を狙って作られている事がわかります。
このタイプのケーブルは極端にコスト高ではあるのですが、以前からインジェクション化等でスロットルインナーケーブルの長さをワンオフで合わせる際には、実はこのタイプの1mm前後のものを時々使っています。
又、1.5mmのものはクラッチに使用しています。
さて、コントロール系のケーブルは、フリクションロスの少なさがまず要求されます。
操作時にはアウターの内部をインナーケーブルが強く擦りながら移動しますが、細ければ当然接触面積が小さくなり、摩擦によって発生する抵抗は低くなります。
理屈としては、ドライブチェーンを細くしてやった際の効果と同じです。
ちなみに、このテスト車両はエンジンチューニングによる後輪出力がかなりのものの為にクラッチスプリングのプリロードを弊社製のSTDのものより30%程度上げてあります。
但し、レリーズ側は繋がり感覚のダイレクトさを重視した為にあえて純正のまま、レバー比の変更等で軽くする設定にはしていません。
それでも指2本で容易に操作が可能かつ扱い易いのは、荷重がかかった際のフリクションを極端に低減出来ている為です。
このインナーケーブルを使用して製作したスロットルやクラッチ用の市販品の計画は割と以前からあったのですが、コントロールケーブルとして販売するには少々高くなり過ぎるかと見送っていたものです。
ただ、使用感の良さと性能は自信を持ってお勧め出来るものですので、少し考えてみましょう。