以前に何度か開けられたと思われるZ系エンジンを分解して、クランクケースの上面やシリンダーブロック下側のベースガスケットの当たる面を見ると、こんな感じに既に多くの傷が付いてしまっている事は少なくありません。
おそらくは、かなり硬化してしまったガスケットを除去するのに、金属製のスクレーパーやカッター等の刃物を使用して、力を入れ過ぎて作業を行った結果では無いかと思えます。
弊社で取り扱いしている様なカーボングラファイト系のガスケットの場合は、年数が経っても当時のタイプのアスベストや現在のゴムバインダー材の様に熱硬化を起こさないので、表面に残ったガスケットを除去するのにそれ程硬いスクレーパー等を使用する必要はありません。
このあたりについては過去にも記事にしています。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=4684
非常に柔らかい為、金属製のものを使用しなくとも簡単に除去出来ます。
ちなみに当方が使っていますのは、特にオートバイや自動車用工具では無く、こういったタイプの汎用のものです。
いくつかのメーカーから、カーボンスクレーパー等の名前で出ています。
ネット上の通販ショップでも売っています。
ちなみにそのものがカーボンで出来ているわけではなく、カーボンを混ぜてある硬質なエンジニアリングプラスチック製です。
新品状態の刃では手を切ってしまいそうな程ではありますが、樹脂ですのでアルミのブロック面には優しく、多少強く当ててもアルミの面に余計な傷を入れてしまう心配がありません。
表面に付着したシリコン膜等を削ぎ取るのも楽です。
ちなみにケミカルにも強く、硬化したノンアスベストガスケットやシリンダーヘッドのカーボンを柔らかくしてから落とすのにガスケットリムーバーや剥離剤等を塗ってある部分に使っても溶けません。
流石に手荒く使うと刃の部分が摩耗はしてしまうのですが、一本あたり数百円と廉価なので使い捨てる様にしてもかまいませんし、400番以下の紙やすり等を使うと好きな角度や形で簡単に刃をつける事が出来ます。
又、高価なセラミック製スクレーパーと違って、うっかり落としても刃が欠ける様な心配もありません。