これは、Z系のスターター系に使用されているワンウェイクラッチギアと、その前後に入るスペーサーです。
この2つのワッシャーの取り付け位置ですが、少し厚さがあり(約2mm)外径の小さな方がギアの平面側の窪みに収まる様に入り、更に内径側を斜めカットしてある方がクランクシャフト側に向く様に組み付けます。
サービスマニュアルにもこの様に記載されています。
又、更に薄くて外径のある1mm厚のスペーサーの方は、反対面のワンウェイクラッチ側、マグネットローターやフライホイール側に入れます。
こちらの方は裏表はありません。
年式によってセンターの穴の径やワンウェイクラッチに当たる部分の直径が変わったりしていますが、初期側のZ1から2005年最終型のZ1000P迄基本構造も組付け位置も変わりません。
さて、このスペーサーの組み込みですが、入庫した車両のスターター部を整備するとたまに位置を間違えて組まれている車両を見る事があります。
裏表のあるスペーサーを逆に組んである場合もあるのですが、特にZ1〜KZ1000やZ1-R(1型)の場合は位置そのものを間違えて両方のスペーサーをギアとフライホイールの間側に挟んで潰してしまっているケースがあります。
おそらく原因は当該年式車用のカワサキ純正パーツリストであろうかと思います。
これらのスペーサーですが、1973年のZ1から1979年のKZ1000迄の7年間、パーツリストではこの様に表記されています。
赤丸が付いているのがこれらのスペーサーですが、16番と26番の大きさが逆になっていますし、16番の組付け位置が反対面になっています。
パーツの組み込み方向や位置が不明な場合、パーツリストを参考にして作業する人も多いかとは思いますが、このワンウェイギア前後のスペーサーについては純正のパーツリスト表記が間違っていますので、ご注意下さい。
ちなみに、発電方式が変わりフライホイールになった1979年以降のZ1000MK2以降ではこの部分の図面は新規のものになった際に位置表記は正常になりましたが、裏表の記載はパーツリストにはありませんので、やはりそれだけを見て整備してあるのかMK2系やそれ以降のJ系では裏返しに組んである車両はたまに見る事があります。