ちょっとある用途に使う為、使用しないKZ1000のシリンダーブロックをカットしてみました。
ついでに、Z1よりスリーブが大きくて肉厚と言われるKZ1000のブロックスペックがどれ位あるのかも参考にして頂きたいと思います。
空冷エンジンの場合シリンダーブロックと言っても塊の様に分厚く出来ているわけではなく、シリンダースリーブを締め代を持たせて入れてあるアルミの筒の周囲にフィンを付けて各気筒を繋いであるようなイメージです。
想像していたより薄いのでは無いかと思いますが、さて何㎜あるか。
燃焼室の下あたりの若干肉厚があるかなと思えるあたりで、大体4.4mmですね。
ちなみに、鉄製のシリンダースリーブを入れてあっても、その下端はブロック下側で支えられているわけではありませんので、更に厚いスリーブを入れても強度は上がりません。
これは、弊社で実測した、Z1とKZ1000シリンダースリーブの主要寸法データです。
例えばですが、純正で外径76.08mmのKZ1000のシリンダースリーブが入っているブロックで、上記の4.4mm厚を3.0mmにするという事で1.4mmずつの拡大を許容とした場合、外径78.8mm。
シリンダースリーブの残厚を耐久性を考慮して片側2.0mm以上残すとした場合、スリーブの下端部分はブロックに当たっているところより若干細くなっている事を考えれば、入れられるピストンサイズは74mm迄という事になります。
実は、弊社の72-74と呼ばれるシリンダースリーブは、外径78.6mm。丁度その位のチューニングを行う事を前提としたサイズにしてあります。
もちろん更に大きなスリーブを入れる為に拡大ボーリングしてインストールし、大径のピストンを使う事も可能ですが、アルミ残厚が薄くなったシリンダーブロックは縦剛性にも少なからず影響が出ますので、無理に締め付けを行うとアルミ缶を踏み潰すかのごとく歪んでしまう可能性も出て来ます。
ノーマルのエンジンブロックをベースに加工してそういったエンジンを製作する場合は、組立時のメニュー建てはもちろん(必要以上のトルクで締めず、ガスケットを良質なメタル系を使用する)、運転使用中にも常に風が抜ける事をイメージして極端なヒート状態にしない事を心がける等、様々な面で注意して下さい。