シリンダースリーブを抜き取り、カットを行ったKZ1000のシリンダーブロック。
ブロック自体の肉厚データについては、先週末の記事の通りです。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=25904
ちなみにシリンダーブロックは鋳造のものであり、それに対して各部の寸法を出しながら加工を施されているものです。
従って、例えば位置決めの為のドエルピン間隔やシリンダースリーブ穴の位置関係についてはそれなりに精度は出ていますが、加工時の鋳造ブロック材のセッティングが偏った場合、各部の実際の肉厚も均等にならなかったりします。
この為、例えばスリーブ穴を拡大していくと2番は平気だったのに3番シリンダーの内側で外壁を貫通してしまったなどという事が起こりえますので、やはり純正ブロックをベースにぎりぎりまで詰めるのは難しいものがあります。
又、この様にブロックの中に鋳巣があった場合、肉厚が残っていてもやはり外に向かって穴が開いてしまう様な事もあります。
さて、ブロックの内壁にはシリンダーライナーが押し付けられた跡が付いています。
反射して黒っぽく見えている部分はより強く当たった部分ですが、上(シリンダーヘッド側)の方が強く当たっているのはより燃焼室に近い上方程熱くなって膨張する為です。
ちなみに、混合気の燃焼自体はピストンが上死点から数mm程度下がった時点でほぼ終了してそれ以降は膨張しながらピストンを押し下げています。
より上方が熱くなる分、その熱を受け止めて伝達させる為の熱の通路を確保するにもそれなりのアルミブロックの肉厚が必要となりますので、やはり大きなシリンダーライナーを入れるには注意が必要となる事がわかるでしょうか。