これは両方共Z1用のセミオートテンショナー
テンショナーロッドはボルトでロックする構造なので、外した車両のテンショナー位置はこの場所という事になります。
右側は、オーバーホール後1万km以下の走行車両からのもの、カムチェーンもまだまだ元気ですので、さほどロッドは出ていません。
左側はそれなりに距離を走行した中古車両からのもの、ほぼ限界近くまで伸びています。ちなみに、チューニングで大幅にヘッド等に面研を施した場合、カムチェーンが伸びていなくともその分の弛みが出来る為、これ位ロッドが出る場合があります。
真ん中に置いてみたのは、Z1000mk2用の純正オートテンショナー。
オートなので取り外すと限界迄伸びますが、一番左のZ1用のレベル迄伸びる事が出来ません。
従って、その車両にMk2用純正テンショナーを使うと、チェーンは張り切れずにかなりの異音の発生や、弛んだ分のチェーンに叩かれた前方のスライダーが折損する事もあります。
更に右側のは、従来流用品としてよく使用されていたGPZ750~ゼファー750前期型用のオートテンショナー。
これも、オーバーホール直後のZ1系であれば十分に使用できますが、伸び切りでここまでですので、車両の消耗度やチューン内容によっては張り切る事が出来ません。
座面をフライス等で切削してストロークを稼ぐ事も出来ますが、それを行うと適正な突き出し量で使用した際のスプリングプリロードが極端に大きくなって、チェーンやアイドラーを痛める場合があります。
さて、デリバリーの始まりました弊社製オートテンショナーですが、見た目を純正形状に保ちながらインナー構造を現代的なものに変更しましたので、より大きなストロークを持たせています。
再圧縮時はMk2系の純正と同じ程度、最大突き出し量はZ1系を超えますが、スプリングテンションの変化はより小さくしています。
再圧縮時にはMk2のものより柔らかく、最大伸長時適正なテンションを保ちます。
オートテンショナーは一度伸びた分がロックされる構造になっていますので正常であれば基本戻る事はありません。スプリングのテンションを必要以上に強くしてもチェーンやアイドラーを痛めたり駆動ロスを生むだけですので、その設定は特に注意して行いました。
テンショナーロッドのロックにノッチ式でなく、ボールリテーナー式を採用したのは、柔らか目のテンションでも無段階にごく僅かずつデリケートに伸ばす事が出来る為です。
又、高負荷時にもロックして伸びなくなる事が少ないのもメリットです。
部品点数が増える為、コストがかかりますが。
リテーナーのボール数はMk2系の純正より増やして、ロッドの寿命を上げています。
エンジンにも、メンテナンス面にも優しいパーツとする事が出来ました。