以前にも記事にしましたが、当社でフルコンインジェクション車を実走セッティングする際には、セッティングソフトを稼働できるwindows tablet PCをハンドルマウントして、センサーの読み取り値やマップ上のどの部分を使っているかの確認をしながら行う場合が多いです。
この方法は、リアルタイムでマップのどこを修正すればいいかが一目瞭然なので非常に便利ではあるのですが、条件の良い高速道路やクローズドコースならともかく、一般道で走行中にモニターを凝視し続けるのは危険です。この為、時と場合を選んでデータロガーも使います。
ちなみに、フルコンのデータロギング機能は、搭載しているECU本体に記録して後ほどパソコンに接続して読み出すのが一般的です。
ただ、キャブレター車をインジェクション化する場合に使用するのに使うECUが、各社ラインナップ中でもシンプルなベーシックグレードである場合、 本体ロギング出来るメモリ量が少なかったり、ログ機能そのものが省かれている事もあります。
ただ、そういったタイプのものでもPCを接続したままであれば、ソフトウェアでPCへのロギングが可能な場合が多く、メモリ可能時間は容量が許す限りほぼ制限がありません。
車載したtabletでそれを行えば、出先で直前に走行したイメージも再生可能だったりします。
これは実走行中の画面ではなく、エンジン始動から数十分間のストリート走行データを全て記録したものです。
アクセル開度による負荷値と回転数のマップ上で動いている水色の○が、現在メインマップのどこを使っているか表しています。
例えば今回使っているhaltechの場合、データはただのグラフでは無く、走行中動作そのものの状況をデモ再生出来るので、走行中のイメージそのものが再現できます。
上の画面には表示されていない補正値等のデータも含み、 50項目ある動作状況を全て記録して、同時再生出来るのが一般的なロガーに対しての強みです。
更に、リアルタイムでは目が追えない場合でも、再生速度を一時停止やスローにして動作させると状況を理解し易くなったりもします。
例えばですが、空燃比数値が表示されていてもスロットルの開け方によっては排気系次第で正しい数値がカウントされない場合もあります。
その前後のスロットル遷移状況をリアルに見れれば、正しい数値が表示されているかどうかの推察も出来ます。
又、デモ画面のみでなく、数値グラフにして表示させる場合もあります。
この場合は時系列を追いながら数値変化を読み取りしたい時に使います。
このソフトウェアロギングの場合、1/10秒毎に状況を測定記録しています。
昔であれば結構高額でありハードルの高かったフルコンも普及するに従い手を出し易くなりました。
ベーシックなタイプとはいえ、キャブ車をインジェクション化するのに必要充分以上の性能を持つものが、それなりに名の通ったブランドのものでも1000ドル前後からそれ以下であるものが珍しくありません。
しかも、それをセッティングする為のソフトウェアは、この20年間で洗練されて使い易くなったものが無償でダウンロードして使用できるものが当たり前になってきています。
もちろんこれらはあくまでもツールですので、どこの製品だけが一番という事もありませんし多機能なものが偉いという筈も無く、使いこなしていくらのものではありますが、一般化するに従って間口が広がってきているとは思います。