正規の作業では無いのですが、知識の一つとして。
Z系含む旧車によく使われるCP2696ですが、パッドが新品時には良かったのに、使っているうちにブレーキタッチが多少スポンジ―になったり、極端に大きな鳴き音が使用する度に鳴く用になる場合は、摩擦材とディスク材の相性ももちろんですが、摩耗により当たり部分の厚さが不均一になって、使用時に適正な面圧分布で当たらなくなる為に起こっている場合が結構あります。
例えば、これは新品から数千km使ったものですが、明らかに右側のディスク外側の方が薄くなっています。
原因は、幅広の当たり面のディスク外周側に当たる部分と内周に近い部分に当たる部分の回転摩擦速度の差であったり、ブレーキキャリパーの開き剛性の差であったりすると思われるのですが、ここまで厚さに差が出ると、ブレーキングの初期には斜めになっているパッドを並行にしようとするのにストロークが必要となり、鳴きの原因のみでなくブレーキのタッチも悪化してきます。
又、上から見てちょっとわかりにくいのですが、ディスクの回転方向でも厚さの不均一は発生します。ノギスで測ると、総厚さで0.4mm程左右で違いがあります。
これがあまりひどくなると、ブレーキのタッチが悪くなりますし、軽い引きずりの原因にもなりますので、自分でメンテナンス出来る場合は充分な摩擦材の残圧がある事を確認した上で、各部が同じ厚さになる様に平面の上で粗めのペーパーに当てて削ってしまいます。写真は定番の上に180番の布ヤスリで行っています。
パッドを削ったりしてしまってもいいのかとも思いますが、余計に厚さの残っている部分を落とすだけです。削りたい部分の中心に指を置いて擦ります。
なるべく各部の厚さを均一にしてやると、ブレーキのタッチも良くなります。
バイクを押し引きした際にも軽く動かせる様になる場合が多いです。
但し、摩擦材がある程度減っている場合は潔く新品に交換してしまった方がいいです。
又、ショップにこの様な作業を依頼すると、新品パッドとの価格を照らし合わせると作業時間工賃がかかる分メリットが薄いので、ご自分で出来る人以外にはお勧めしません。
ちなみに、異径のピストンを4個以上使用するキャリパーでは、ブレーキング時に圧を均一にかけられる様にしている事と、外周方向の幅が少なくなる事もあってパッドの摩耗は全体的に均一に近くなります。