プライベーター様よりオーダー頂きましたZ750D1のシリンダーのご紹介です。オーナー様ご自身でエンジン分解の際に、当時物のガスケットの固着が酷く、無理にこじってしまった様で、フィン欠けや物凄く深い傷が無数に有りました。シリンダーとヘッドの間にスクレーパーみたいな物を叩入れ、こじったであろう傷が隅に有ります。気持ちは分かるんですが、やってはいけない方法です。
深さを測定すると、一番深い所で約1.5mmも有ります。この量を面研で全て取りきるのは加工自体は可能ですが、1.5mmもブロックが薄くなってしまいますので圧縮圧力の問題や部品同士の干渉など、現実的には無理に近い量です。
また、Zシリーズの4隅のシリンダースタッドボルト穴はオイルラインを兼ねており、今回の傷はヘッドガスケットのオイルラインビード部におもいっきり被ってしまっていますので、傷を残す訳にはいかない状況です。
こちらは別の場所ですが、こちらもガスケットのオイルラインビード部に被ってしまっていて、深さも1mm弱程度です。
そしてこちらは、カムチェーントンネル外周のセンターシールOリング溝の外壁が、内と外で少し繋がってしまっています。
そして下面はガスケットを剥がす際についてしまったであろう傷が無数に有りました。
オイルリークに繋がる可能性のある傷は消しておきたいので下面もキッチリ面研します。今回はフィン欠けはそのままでと言う事でした。
溶接+面研の完成がこちらです。上面は0.12mm下面は0.13mmの面研で歪み取りを含め面が整いました。
ESTスリーブ64OS入替、ピスタルレーシングピストン67mm仕様、トルクプレート使用ボーリング&ホーニング、傷埋め特殊溶接修理多数、上下最小値面研と手の込んだ加工となりました。貴重な746ccブロックでしたので、無事復活させる事が出来て良かったです。乗り味も別物にパワーアップしてますので、これからも今まで以上に可愛がってあげて下さいね。
この度はご利用頂きありがとうございました。